M&SSの再起動ー19(カン・ユウリンさんも来日)
カンさんが武道場を表敬
カンさんは大学の研修所取調室から、武道場に顔を出した。
まさるも少し早めに切り上げ、研修生を開放しシャワーを浴びて、着替えているとマイケルと一緒にカンさんがドアの外に立っている。
「あれっつ 東京駅じゃなかったの?」と珍しくまさるが慌てる。
「驚かしてすみません、ご報告が遅れまして申し訳ありませんが、少し事情が変わりました」とカンさんが周りを見回す。
ここはシャワーとサロンが続いている、職員用のロッカールームの続きで談話室になっているので、寛げるコーナーだ。
「それにしてもマイケルはデカ長室じゃないのか?」とこっちも気になる。
マイケルが「その辺から整理してご説明します、新幹線は大丈夫ですか?」時計を見ながら話しだす。
「うん大丈夫だ、2時間以上あるから」とまさるも一呼吸おいてテーブルのコーナを使って3人が向かい合うように座る。
「実は先ほど神田さんが、カンさんに一芝居うってもらい、アラファト言うアラブ系の男を締め上げ、決着付きました」
「まさか八極拳を使った分けでないだろうね」とまさるが心配する。
「わたしは至って温厚なビジネスマンですから、荒っぽいお仕事は生に合わないですよ」と笑う。
まさるは「何を言うんですか、マカオ・マフィアも一目置くミスターカンが、今回はご本人がそう言うので聞いて置きますか」と納得顔だ。
「まだ調書は完成していませんが、関係者の慰労を兼ねて早仕舞いになりました。
本人が自白し、緒に就いたので誓約書にサインさせ、明日から通常時間で仕上げることにしました」
「そっちも早上がりだったのか、カンさんと待ち合わせなので余裕をつけたが~」
ユウリンさんも来日中
「柏木さん、実は私の勝ってな都合ですが、私以外の人間も同行して良いですかね?」と聞く。
「それは大丈夫ですが、まさか名護くんでは無いでしょうね、彼を連れてゆくとお姉さんも行くと言い出すので、業務に差し支えそうなのでね」と念を押す。
「えっつそんな繋がりがあったのですか?マイケルさんではなく、カン・ユウリンと言う私の女房なんです」
「えっつ奥さんが来ていたのですか?それは知らなかった、大丈夫です」とまさるがにっこり笑顔になる。
マイケルが「いつ来たんですか?全然お話にならないから、神田さん杉原さんも知らないのでしょう」と当惑している。
「これはマカオを出る前に家に帰った時決めて、こっちが落ち着いたころに連絡することにしてありました。この間私の関係の事情聴取が一段落したところで、長野に呼んだのです」
「そうでしたか、奥さんに会いたかったなぁ」とマイケルは残念そうな顔でつぶやく。
シンディーさんは来ないのかな?
「しばらく滞在しますから、東京に来ますのでその時お食事会でもやりましょうか?」
「それは楽しみですね、リー・シンディーさんはいつ頃招待するのかなぁ」とマイケルは違う人を想定しているようだ。
「国内旅行は、時間の都合付くときは女房と一緒にお付き合いしますから、向こうで相談しましょう、マイケルくんシンディーさんを招待の話は始めてだが~」
「そうですね、その話は僕も初めてですよ」とカンさんも驚く。
「マカオで、カンさんが警備艇とドッキングして、クルーザーで戻ることが決まった時、杉原さんが【リュウ入境管理所長とリー・シンディーさんを東京にご招待できないかなぁ】とそんな希望をお話ていたもんで~」
「そうでしたか、その時は僕も加わりたいですね」とカンさんも乗り気だ。
「その話は、外務省の杉原さんのお気持ちで、予算もスケジュールも具体的ではないのですが、香港・マカオと追跡したがシンディーさんの叔父さんの機転で、シンディーさんとカンさんにお会いして事案が収束方向に向いたので、率直な発言でした」
「そうか大人になったシンディーさんも、お会いしたいね」とまさるも興味を示す。
その時カンさんのスマホが着信音が~
「おぉ~今 高崎を通過したようです、あと一時間位だそうです」
「それでは,僕たちも用意しますか?」とまさるが立ち上がる。
「名護警部 アラファトがダラケテきたら【死体袋は届いているから】と仄めかして油断しないで仕上げて下さい」とカンさんも立ち上がる。
「えっつ死体袋とは、物騒な話ですね」とまさるが大きくうなずく。
「カンさんのお陰で、ゴールが見えてきましたよ、有難うございます」と丁寧に頭を下げて礼をする。
まさるとカンさんは、余裕があると思って東京駅に着いたが、ほとんど同時に着いて改札ゲート前でギリギリセーフだった。
川渡の山繋がりの、 鬼首カルデラ盆地の紅葉、低い平地は大昔の火口らしいです(^^♪
10年ぐらい前にマカオで会っているが、全然変わらず日本語も普通の会話ができる。
「今回も主人がお世話になりました」と礼を言う。
「いあや~全然変わらない奥様にお会いできてうれしいです」とまさるが挨拶。
「あれっつ 柏木様は冗談も言うのですね?」と首を傾げにっこり笑顔になる。
カンさんはにやにやしながら、口出しせず奥さんの荷物を受け取る。
カンさんはショルダー一つで行動していたが、長野から奥さんんが運んできたようだ。
少し時間があるので、構内のカフェに腰を下ろして話を続ける。
「あの頃は、一人で海外の事案に対応していましたから、しかめっ面でしたね」と笑う。
「台湾から香港・マカオ・フィリピンと、かなりイレギュラーな仕事を遣って戴きましたね、本当に助かりました、私は兄弟が姉だけですから兄のような存在でした」
まさるはLINEで彩音さんに奥さんも一緒だよと伝えと、彩音さんは、おりこみ済みのように【大丈夫です、香織さんと豊さん・小野寺さんもお出でになるので、一緒に夕食を用意しておきます。お迎えは豊さんが行ってくれることになっています】
カン家は奥さんが強い?
カンさんに伝えると「気を遣わしたようですね、突然の話で~」とユウリンさの顔を見る。
「えっ あなたお知らせして居なかったんですか?」と当惑する。
カンさんは「捜査の尋問が今日の昼前までかかり、ゆっくりお話しするのは今日の午後からだからね」とまさるにウインクする。
「いや~私が来ていること忘れて居たのでしょう?」と突っ込む。
「奥さん大丈夫ですよ、我が家は道場をやっているの、いつも家族以外の人が2~3人いますから、気になさらず。
ソンシさんも捜査員と同じレベルの勤務体制のようでしたし、僕は当事者じゃないので極力タッチしないで来ましたから、コミニュケーションが取れていませんでした、この間、長野に戻った時メールを頂き知ったのです」
「そうですか?この人は仕事になると、脇目もふらずに一直線みたいな人ですから、ご迷惑をお掛けしているかと心配なんです」
「そんなことないでしょ.何時もキチンと連絡入れてますよ」とカンさんが抗議する。
「子供たちも、お父さんは外国の人とうまくコミュニケーションとってお仕事しているのかしら?と心配していますよ」
「奥さん、カンさんはお願いしたことは必ず守る人で、そう言うう点では信頼出来るのですが、チョットやばいかなと思うことをうっかり話すと、そのこともきちんとやっていただき助けられました」
「今回は、私まで付きまとってご迷惑をお掛けします、よろしくお願いします」
そんなことを言いながら、19時前のはやぶさに乗って古川に向かう(^^♪