M&SSの再起動ー18(卑劣な犯行準備)
大国を脅かすウイルス操作
イワンとアラファトは使い捨ての駒で、本番は外交のスペシャリストが暗躍している様だ。
アラファトの入出国管理局の記録から東京のアジトが判明、警視庁に捜索を依頼した。
この件は香港の総領事館から送付された、イワンとアラファトのビザを東京でチェックし、国内に関連団体が所有していた、研究所と言う名目のアジトだった。
中東の火種と、東アジアの問題児も関与した組織が国内に存在していた。
その大きな目的が、大国の海外の統治領域のリゾート地を、違法操作で培養した病原ウイルスで汚染し、大国を強請るストリーだと言う。
防衛省のNIDS(防衛研究所)の宮田研究主任がSSDの解読を継続して居て、暗号の乱数が何度か変更しているとき、本国の極秘部分を3行くらい添付資料を発見した。
【先行して「水源汚染で住民の殺傷」を実施し、架空の交渉では無くリアルな動画を提示して、交渉のテーブルを優位にする】という部分が判明した。
イワンの容疑は密出国と、国内の病院のパソコンの破損・窃盗だが、SSDの暗号解読で取得した証拠を小出しに追及して、落とす作戦のようだ。
アラファトとの接点が重要なカギで、個別の取り調べ中でまだ公表されて居ないので、弁護士も付いて居なく最終的に海外追放の形になりそうだ。
外務省は、複数のパスポートなどを添付して、非公式でSSDの通信記録と海外へ密出国と東南アジアで確保したことを伝えてある。
アラファトは、国内在留者で違法な密出国の同道し、多額の米ドル紙幣を所持も疑惑が有るので取り調べは続いている。
カンさんの事情聴取終了
カンさんは、捜査の協力者で密出国後に脅迫的な接触で、かんさんの地の利で巧妙に走行し大陸の公安警備艇の待機場所を通過、拿捕覚悟で領海侵犯し穏便に始末をつけ、渡航を中断・被疑者確保に辿り着いた功労者である。
実家は長野だが、柏木まさる氏に会いたいので、暫く国内旅行を兼ねて川渡に行く様だ。
カンさんの会社を閉鎖して、海上輸送会社が利益が上がる会社になった頃、まさるが極秘任務で密接な付き合いが始まった。
まさるがホンコンや台湾のミッッションでは、時間をつくってマカオで顔を合わして情報交換をしながら、交流を深めてきた。
今回も、府中の研修所で極秘取り調べなので、マイケルを通じてカンさんも取り調べに参加していることを承知していたが、公的入国なのでメール等で挨拶程度にしてきた。
捜査過程が終盤の大国との話にに入ったので、カンさんも一旦離れ実家の長野に顔を出して、休養したようだ。
まさるが川渡からメールし、遊びに来るように話すと【喜んで伺います】と言う返事で2日後に会って一緒に川渡に行くことになった。
東京駅で待ち合わせの予定が大学の武道所に顔を出し、まさるのの指導を眺め合間に近況を話したりのんびり過ごす。
敷地内の研修所のデカ部屋で、フランス語と中国語を駆使して締め上げたが、アラファトはまだ全容を話していないようだ。
取調室に顔を出してあいさつしたが、マイケルと二階堂警部が交互に尋問して警視庁でアジトを捜索・押収した中身から、角度を変えながら攻めているようだ。
神田さんが、カンさんに再度立ち会って脅しを掛けて欲しいと言う。
マイケルが尋問で、若い警部補が書記をやっていたが、カンさんが静かに入室すると、アラファトが表情を崩してホッとした顔のなる。
カンさんのアドリブ
カンさんは無表情にマイケルの隣にパイプ椅子を並べて掛ける。
マイケルに頷き
「全然住んでいないようだな、正直に話さないとお前たちは南シナ海に「溺死体」で浮かぶことになるよ。日本で取り調べをしているこの捜査は非公開で弁護士も付いて居ないだろう。
まだどこにも届けず非公式だから、2人を抹消するのはごく自然で簡単な方法だよ」と脅す。マイケルは驚いて声を上げそうになったが、かんさんが親指を立てて
「俺はこれで飯を食っているので、非合法な処理は手馴れているから、2週もこんな状態なら始末しようと結論が出たよ」
マイケルも驚いて顔を向けてきたが
「杉原さんと神田さんも関係部署に報告していたよ。死体収納袋に入れて明朝大型クルーザで出港するよ」とあっさり話す。
「俺の免許は外洋にも出れるんで、海流の早いとこでウエートをつけて流してやるよ」
「誰に義理立てしているのか、東京のアジトは閉鎖して住民は違法滞留で本国に送還されたから、アラファトが入国したことも誰も認知していないし。
杉原さんは、全て話せば別のパスポートを発行して、好きなところに開放すると言う話もあったのだが~と言って残念がっていたよ」
「おれも、マカオでボートを出したのが切っ掛けだから、寄ってみたらさっき決まったようだよ。
「目的・依頼者」をきちんと話せばいい方向に行ったのに残念だな」と、マイケルに向いて
「そういうわけだから、あとで袋を2本持ってくるから、あのワンボックスでバースまづ運んでよ、海に出てしまえばエンドだよ」とカンさんはにこやかに立ち上がる。
「じゃ~今日はそう言うことで終了します」とマイケルも真面目な顔で立ち上がる。
アラファトは、何か言いたそうにモジモジしながら、カンさんとマイケルの顔を交互に見つめて、顔色が青くなり泣きそうになった。
アラファト堕ちる
「残念だったな、知っていることを話して呉れれば、こんな悲惨な結論にはならなかったのに~」とマイケルが警部補に手錠をかける仕草を示す。
カンさんは。ドアを開けて外に出る、後ろから悲痛な叫び
「ミスター・カン、ミスター名護 もう少し時間をください、全部話します」と鳴きながら必死な声で訴える。
「今までと同じことを話したらその時点で終わりだよ、 マイケルさんまさるさんの家に行くので、中身を教えてください、袋は2本用意しておきます」とカンさんは中に戻らず体だけ向き直し、静かに話して離れる。
取調室は新たな緊張の中で、アラファトはかなり落ち込んだが、今までと違う顔つきになり、日本語も交えて語りだす。
両親は朝鮮系で生まれが中東の石油大国で、大学に進み父親の勧めで外国語を学び英語と日本語を選び将来は日本の会社に就職する希望を持っていた。
卒業前にフランス語圏内でフランス語を学ぼうと、隣のベルギーに長期旅行をし、アジア系のエージェントから誘われ小遣い稼ぎで、中国語の通訳を経験した。
バイトのつもりが、通訳や翻訳の中身が犯罪に近いことを察知、身を引こうとして逆に引き込まれ抜け出せない羽目に陥っていた。
国の機関で本国の両親も監視下に有ることを知り観念した。
以後積極的に参加して、大きなミッションも任せられる位置についたが、他国からの移民である部分でハンディを負わされていることも自覚していた。
今回のミッションは成功率10%もないことも認識しながら、強硬したようだ。
渡航で足跡を残したら、そこで別働のチームに消される運命らしい。
むしろ現状は、日本の司直の手で保護されている形だ。