まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな-12(料亭でディナー)

香港マカオに出張ったメンバーも含め20名近い宴会だったが、非公式といえ本庁の次長や領事局の局長など、通常はほとんど面識が無いメンツが同席するので、周りが緊張して居る。

 

杉原領事局長は、佐々木次長と入魂なので軽く手を挙げて挨拶する。

周りの雰囲気がほっと和み、その場の関係者は来客への気配りに気配り出来、笑顔が広がる。

 

宴は神田警視が司会進行、杉原さんが出張時のリーダーだったので歓迎の挨拶、佐々木次長を紹介、本庁から多人数押しかけ迷惑を掛けたことを詫びる。

 

続いてリュウ―所長が、最初だけ日本語で

(有難うございます)挨拶続いて中国語で話を始め、シンディーが日本語で通訳。

 

リュウー所長が、シンディーの顔を見ながら、日本のお役人が大挙してマカオに到着した時は、どのように対応して良いの苦慮したことを披露する。

 

シンディーが叔父のハウ・グウさんに顔を向けて促す。

グウさんも自己紹介し
「香港の総領事館に非公式の捜査追跡業務とは言え、本庁から電話一本で5~6名のキャリア官僚を受け入れたのは、前代未聞の出来事でした、総領事始め何か重要なミスが発生したものと、総領事以下全館が緊張しました」と、ここは日本語で話して呉れた。

 

リュウーさんが続けて

「香港も同じ行政区なので情報は逐一共有し、マカオ治安警備局長にも協力を依頼し、私たちは越権行為でしたが共同作業で容疑者の確保にご協力出来ました。これは、此処におられるリー・シンディー嬢の機転と配慮と、明日会う予定のカン・ソンシ(榊原修二)の豪胆な勇気が遺漏なく、済ませることが出来ました」と周りを引き立てる。

 

シンディーは自分も引き合いに出されたので、ぬかして通訳すると神田警視が指摘し

「シンディーさん正確に通訳してください」と笑顔で、その部分を中国語と日本語で丁寧に自分で話す。

 

会場は、一気に盛り上がり拍手する。

神田さんが全席の顔を見回し、次長・鈴木審議官・杉原局長にコンタクト

「二階堂くん、カンパイの音頭を摂ってください」と指名する。

突然のことで驚いた顔をした二階堂警部も静かに立ち上がり

「ご列席の皆様、僭越ながら若輩者がカンパイの音頭を摂ります。お世話になりっぱなしの外国の皆様、また異なる役所の諸先輩 ここで明かしますが今回の事案は、リュー所長・ハウ事務官・シンディー社長、明日会う予定の榊原さん無しでは成しえませんでした。

皆様 本当に有難うございました!カンパイ」と大きな声を発っして杯を上げた。

 

次長と杉原局長がキャリアとしては珍しく、来客の席に酌をし団らんしながら、謝意を示す。一通り回って、鈴木審議官に顔を合わせ次の間に姿を消す。

 

鈴木さんとスーザンが素早く席を外し、神田さんたちもリューさんたちと会話が弾んでいる。スーザンだけが戻って接客に努める

 

二階堂警部が、スーザンに声を掛けると右の親指を立て「所要が有って早退しました」と小さい声で連絡する。


シンディ―もまだ酔いも感じづモデルの歩き方で、男性陣の傍に来た。

スーザンの顔を見ながら、マイケルと見比べて

「ご兄弟ですか?」と聞く、二階堂警部が「はい正解です」とお銚子を差し出す。

マイケルが伏せて有った杯を、シンディーに差し出して、それに二階堂さんが注ぐ。

 

シンディ―は、日本酒を一気に飲み干しマイケルに差し出し

「マイケルに会えて今回の目的が、達成しました」と、微笑みながら二階堂警部の銚子を受け取り、注いでくれた。

 

マイケルも、日本酒は飲んでいなかったが、素直に受けて口を付ける。隣の斎藤警部補が「おっ~」と声を挙げて拍手、M&SSの同窓生だ。

 

宴会終了後マイケルと二階堂警部がタクシーの助手席に座り、ホテルまで送る。

「明日は、情報局の佐藤くんとうちの斎藤警部補がバスでお迎えに来ます」とドアを開ける。

 

「あれっ マイケルたちは今日でお別れなの?」とシンディーが大きな声を出す。

タクシーの運転手が驚いて後ろを振り向き、役所の幹部に外人の若い娘が日本語で苦情を言うのに驚いた様だ。

 

「私たちは、このホテルか東京駅へお見送りに来ますから、未だお別れじゃありませんよ」とマイケルがにやけた顔で、二階堂警部の顔を見ている。

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シェラトン都ホテル

「明日もスケジュールが詰まっている様ですから、今晩は体を休めて下さい」と二階堂警部が会釈をしながら、ドアボーイに視線を送る。

1台を残し、2台は清算して7人の客を確認しホテルのホールに一緒に入る。

 

インが遅れたことを詫び、明日の予定を話す「若しかすると役所の幹部が挨拶に来るかもしれないので、ご配慮願います」と伝える。

フロントのマネージャーが「玄関脇のロビーに席をセットし、寛いでもらいます」

 

「それは助かります、小型バスも来るでしょうが、我々の仲間が2名来ますので、指示して下さい」と離れ、サインして居るシンディ―の傍に行く。

 

「お疲れ様です、此処で失礼します、ごゆっくりお休みください」と礼をする。

「また明日ね~」とシンディーが笑顔で手を上げ、皆もホッとした顔で笑顔を送る。

 

ホテルを出ると、見慣れた二人組がこっちを見ている(なんだ、こいつら俺たちをつけていたのか)と怒鳴りそうになった。

明日の事が気になり確認のため、タクシーで追っかけた、佐藤君と斎藤警部補だった。

 

「君たちも、心配性だな」とマイケルが声を掛ける。

「そうですよ、だって次長や局長が来るかも知れないの失敗できないですよ」と斎藤くんが本気度で応える。

 

「佐藤君もそうかい?」と二階堂警部が念を押す。

「私も、羽田まで局長に付き添ったのも、宴会に出るのも初めてで、明日も有るので緊張しています」と学生の様に真面目に答える。

 

「それじゃ、折角来たのだからフロントのマネージャーに挨拶して来い、俺たちの車で待って居るから」と二人を中に送り込む。

 

キャリアの2年目の二人が、マネージャーに会って話をしていたが(未だ何も始まって居ないので~明日は宜しくお願いします)と言われ早々に帰って来た。

 

同世代の4人は最寄りの私鉄ターミナルまで移動し(飲み直すかぁ?)と言ったが

「明日が有りますから、今晩は遠慮します」と殊勝な佐藤君の真面目さに救われ解散。