まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな(回想からリアルに)

榊原さんの学生時代

榊原さんの学生時代の回想を書いてきましたが、台北から深圳に回遊するまで。

 

回想部分は、記憶が曖昧でユーリンさんとの出会いが重大なポイントで、義父に会社の経営を教わるつもりが̻刺客襲われ、言葉を交わす暇もなく無念の別れ。

 

ユーリンと結婚して敷地内に住みながら、義父の災難を察知できず榊原さんは斬鬼に堪えず、警備部門の主任の伝で、街を仕切っていた人物に会い危ない橋を渡って義理を果たす、家族ともども香港に移住、海上輸送を本格的に起業。

 

顧客としていた企業の高級クルーザーを譲渡され、リニュアルしてパワーを上げ装備もGPSや衛星電話など、外観に手を入れず密かに改造し拠点をマカオに転居、正規の営業と非正規の夜間等に通常の業務以外の顧客も大事に対応、それなりの収益が上がった。

 

しかしマカオの生活は子供教育に適さず、留学で凌いできたが家族の悩みを話し合って、英語圏かヨーロッパなどに移住を真剣に話し合った。

 

ユーリンは、何度か渡航して居る日本が希望地で、榊原さんの故郷でもあるし騒乱の無い社会情勢が大事な条件だった。

子供たちも、シンガポールで不自由のない留学だったが、自主的に父親の日本語教室に通い会話も筆記も及第点だった。

 

 修仁くんと恵姫は弓にも興味がある

今は仙台のアメリカンスクールに通い、土日は川渡で過ごせるのでストレスもなく、寄宿先も日本の子供多いので日本語教室の必要が無く、自宅道場より「めおと道場」で過ごすことが多くなっている。

 

シュウジンくんとハーウインさんは、カンフー(八極拳)も好きだが、柔道と合気道弓道が気になるようで、農場の実習生や川渡の子供たちが稽古して居るのを眺めている

 

入門希望の女子中学生

マカオシンガポールを離れ、風土が変わりゆったりした時間が次第の身に染むのか、兄妹で英語と中国語で話して居ると、弓道場の矢取り道で見学していた子が

「あなた方は、何処の学校に通っているの?」と聞いて来た。

 

二人は顔を見合わせ

「メリカンスクールです」と答えていた。

 

「ごめんなさい、隣の道場の子供で榊原と言います」と修仁くんが丁寧に答える。

「な~んだお隣でしたか、最初の会話は英語だと思いましたが、普通の日本語ですね」と、中学生くらいの女の子が興味があるらしく、聞いてくる。

 

今度は恵姫さんが、やはり日本語で(私たちシンガポールから移住なので、言葉が英語中心でした、父が日本人なので日本語教室で日本語を学びました)今は仙台の学校で寄宿舎に入って、週末に戻って来ることを話す。

 

その子たちも中学校で英語を学んでいるが、3か国語を理解できるなんて不思議なことだと、すっかり話し込んでいる。

 

そこへユーリンが迎えに来て

「お邪魔じゃないの?」と子供たちは、話し込んでいるのを気にした。

「あらぁおかぁさまですか?私が引き留めていました、御免なさい」と頭を下げる。

修仁くんが慌てて

「違います、この方に自分たちのことを話して居た処です」

 

「そうだったの、未だ来たばかりで慣れていないので、失礼したのかと心配をしました」

「私は、中学2年で英語が苦手で、こんなに若い二人が3か国語を簡単に話せるなんと凄い事だと感心していたところです、大変不躾なことで申し訳ありません」と軽く頭を下げる。

 

「たまたま住んで居る所が、そんな環境でしたから自然な成り行きで、お驚きになることは在りませんよ」と笑うと、女子中学生の連れが

「私は佐々木清子と言います、ここから少し離れた岩出山ですが、地元にも弓道場が有るのですが、こちらでは合気道も教えて頂けると聞いて、見学に来たのです」と会釈しながら説明する。

先に話して居た中学2年は遠藤由香里と言うらしい。

 

「あぁそうでしたか、彩音先生が弓と合気道の段持ちで、週何回か時間を決めて教習して居ますよ、私も生徒ですけどね」とユーリンが笑う。

 

彩音先生も興味を

「な~んか楽しそうにやっているんじゃない」と当の彩音先生が道着にはかま姿で矢取りに行くようだ。

 

「ごめ~んなさい、お稽古の邪魔だったわね」とユーリンが謝る。

「特に邪魔じゃないわよ、いま矢取りしてくるから私も仲間に入れて頂戴」と、さぁ~と音を立てずに歩いて行く。

 

「あれは怒って居ない雰囲気ね」とユーリンが笑う。

「先生は怖い方ですか?」と佐々木さんが真顔で聞く。

 

「それは何か悪いことをしたら、怖いでしょうね元警察庁の警部さんだから」と言う。

そこへ草履の音を消して近寄り

「やっぱり何かを企んでいる顔つきね!」と決めつける。

「と~んでもありませんわぁ、塾生が増えるかどうかの瀬戸際です」とユーリン~。

 

「こちらが岩出山の佐々木清子さん・こちらか遠藤由香里さんです、弓と合気道の入門を迷っているので、彩音先生の人柄などを紹介したところです」とユーリンが惚ける。

 

「えっつこんなところで、入門勧誘なんて許可しませんよ!」すると修仁くんが噴出し

「おかぁさんも、もうチョットうまく話さないと~彩音先生も、腹を立てないでしょう」とケシかける。

 

「なに!修仁くんも絡んでいるの!怪しいなぁ!恵姫ちゃんも一緒ね」と笑いだす。

 

「まぁ入門希望の見学なら、道場の見所に行きましょう」と5人を引き立てて、自分はも道場の端から膝をついて矢を脇に抱えて入り、ユーリンが4人を連れて、廊下から見所脇に回る。

 

二人の中学生も、恐々付いてくる。

 「さっき先生は「ケンゾ」と言った様な気がしますが、何処に行くのですか?」

 

「いや~私も知らなかったのよ、こっちへ来てあの一段高い部分が(見る所)と書いて(ケンゾ)と言って、審査の時は先生方、試合の時は招待された人が観覧席ね」と説明

 静かに引き戸を開けて入る。

 

「今引いている人たちは、次の段・級審査を目指しているので、静かにご覧下さい」と彩音道場主が説明しながら畳の上に招く。

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弓道には教本もあるが動作を体に教え込むには正しい引き方を重ねなくちゃ前に進まない(^^♪

弓の稽古は接触指導じゃないので、形を完成するまで1対1の感じで根気がいる!

 

畳の端の方に先生を見習って正座して、射場を見る、弓を引くよりその動作や手順に気を配っている様で、先生は何も言わないが、女性のはかま姿のコーチが、声は小さいが厳しく指摘してやり直したり、自分でも引いて見せたり、立った状態から座るのもリズムが有り、カンフーにはない空気が漂う。修仁くんも真剣な眼差しだ。

 

彩音先生が、見所から降り道場の正面に進み、全体を眺めている。

「斎藤さん、宜しいですか?」と聞くと。

「はいっ通しで4回やってみましたが、緊張して居ますが、目線などまだやることはあります、今日はこの位で終了します」とみんなに顔向けて、斎藤師範代が報告する。

 

「有難うございます、私が忙しいふりをして手を抜いて来たので、斎藤さんだけが鬼軍曹役になって頂き、申し訳ありませんでした」

 斎藤こずえ師範代准教授に栄進

「実はここで」と改まった顔をしながら

「斎藤先生の移動が決まり本道場に来れるのも数少なりました。この度、大学本部に戻り、准教授に栄進なさいます」と言うとわぁ~と声が掛かり、拍手が続く。

 

「わたくしは、斎藤先生に甘えて道場の運営や家事のことまで手伝って頂きお世話になりました。皆さんも審査をパスして、斎藤先生にご恩返しをしてくださいねっ」

 

「これは余談ですが、近いうちに送別射会を考えて居ますので、お酒なしの甘いもので盛り上がりましょう」と言うとざわついて居る。

 

彩音先生がくるっと回って

岩出山のお嬢様たち、こんな雰囲気の道場です。最初は入門じゃなく遊びながら弓と合気道を体験してください、遣ってみてご自分に合うか続けらえるか、決めればいいです。後でお稽古日のスケジュール表を差し上げます」

 

そのときユウリンが、スマホを取り出し着信を確認して居る。

「パパが用事あるようなので、戻りますあなた達はお話をして居なさい」と入門希望の中学生に気を遣う。

 

「はい分かりました、柔道場にも行きたいです」と修仁が答え、佐々木さんと遠藤さんの顔を見(どうします?)って言うジェスチャーだ。

 

恵姫は彩音さんと話しながら、笑い顔で柔道場に行くようだ。

「私も弓を習いたいと言うと、厳しく躾けますからね、と許可を貰いました」と嬉しそうだ。

「恵姫さんは隣だもの良いわねぇ」と佐々木さんが羨ましそうだ。