武道場のきずな-10(マカオの知人たちが大挙)
マイケル妙に興奮
「師匠大変です、シンディーが遊びに来るようです!」とLINEでトークまさるが惚けて「何処からそんなデマ情報が入ったんだ!」と強い口調で返信する。
「先程、神田警視が「海外情報局」の杉原さんから(マカオの所長さんが勇退し日本に遊びに来るので、一緒に接待してくれ)と連絡が有ったそうです」
「それで出張したメンツが揃って、挨拶することになったのです」と興奮気味だ。
「それは良かったね、それでシンディーはどうしたの?」と聞くと
「それが良く分からないんです、叔父さん夫妻とかいろいろな人がご一緒のようで、杉原さんの役所だけじゃ賄いきれないようで、応援を頼むと言う事でした」
「それじゃ君たちも良い思いしたのだ、カンパして応援しなさいよ」と突き放す。
「でも歌舞伎を観たいとか東京の街を散策したいとか、半端な支出じゃないようです、神田さんは何処かでお食事も考えると、頭が痛いよと言い出しました」
「本庁のお偉い方も参加するだろ出して貰えば良いじゃないか!」と呑気に返信(^^♪
「師匠はお声が掛からないのですか?」と、まさるも巻き込もうと書いてくる。
「うちは管轄外だからね、金のないことは分かっているし、お誘いは無いよ」と白けたトークではぐらかす。
まさるは、次の出勤日まで時間が有るので、鈴木警視正にスマホで都合を聞くと
「そうなのよ、まさる君に相談しようかと考えて居たが、カンさんじゃなくて榊原さんだったね、川渡にも行く話なので、お二人にもご迷惑な話でしょう、表立って支援できないが非正規の捜査費の残額が有るから、次長に話して送ります」
「いやぁその話は有難いですが大丈夫そうです、結構物入りな事案でしょう、歌舞伎とか、お食事とか、神田くんが心配して居たようなので~」
「東京関係は杉原情報局長に任せて、接待をお願いして居ますから大丈夫よ、何処かの和食の料亭をキープして、その時は次長が時間が有ればご相伴し、本庁からは関わった若い人たちを同席させます、そうだね本庁の関係者に話が通って居なかったわね、あとでLINEを使って一斉に通して置くわね」と整然と話すので、煮詰まっている様だ。
まさるはチョット考え、今日は高田師範代が来ているので「かんばら道場」で話を決めることにした。
彩音さんに話、高田さんに隣の道場に行くことを伝え、何か有ったらスマホに下さいと廊下に出る。
最近、立ち上がる事ができる壮太が廊下を勢いよく這ってくる、彩音さんが笑いながらウエットタオルを持って、ついている。
まさるが(隣の道場に行ってくる)いった言葉を理解したようで、いつも一緒に行っているので、当然抱っこして貰うつもりで出てきた様だ。
まさると目が合うと、ニコッと笑顔で四つ足歩行を止める、まさるが仕方なく膝をついて抱き上げ(今日は壮ちゃんはお留守番をお願いします)彩音さんに手渡す。
何でえ~みたいな顔で振り向くが、泣きもせずまさるを見つめている。まさるが出勤の時車のベビーシートに座ったまま手を振って居るので、右手を挙げて揺らした。
彩音さんが
「はいっ壮ちゃんブーブーでお出かけしましょ」と彩音さんがサンダルを履きベビーカーに乗せる。
機嫌が直って、キャキャ言いながら手を叩いている脇から、まさるは緑濃い脇道に進む。午前の早い時間で、カンフーの道場には静かだ、太極拳のフローリングでBGMが静かに流れている。
道場脇の談話室で、榊原さんがPCに向かって誰かと話して居る。
ドアが開いているがノックし「お邪魔しても良いですか?」と声を掛ける。
「はいっ大丈夫です、いまシンディーと話して居ました(シンディー カシワギさんが来たので一緒に話を進めて良いかな)まさるさん、先日の話でシンディーに確認して居ました」
まさるは鈴木審議官から聞いた部分を、まとめながら話し到着便の時間や、東京のスケジュールが決まったのか気になった。
本来はリューさんが仕切る事だが、ほとんどシンディーに聞いてくるのでいろいろ動いて、まとめ上海便と香港便が別々に羽田で合流するの一番良いようだ。
治安警察局のヤン局長が(なんで私の所にお誘いが無いのか杉原さんに聞いて下さい)と電話が来ました。
シンディーは、(局長が勇退してら差し障りが無くなったら、わたしがお供しますからご安心下さい)と宥めましたと笑う。
そうか現役の警察局長が遊覧旅行に同行したら、大陸の中央からイチャモンガ付きそうだものね、シンディーを悪役にしてしまい申し訳ないと、榊原さんが詫びる。
「本来、私は仕事柄親しくして貰うのは恐縮な格上の方に、直に電話でお喋り出来ることは法外な話ですよね」と謙遜する。
それはシンディーの人格と言うかアイデンティティとして誇るべきだよ、お父さんの時代からまさるさんと一緒にクルージングした時から、頼りにしていたよ、榊原さん。
「あの頃は、まだ高校生のバイトの様に父のボートに乗っていただけで、あんまり考えたことないですよ、それより早くユウリンねぇさんに会いたいです」
「そのとだが、毎日のようにシンディーのことを気にして居るから、ユウリンも同じ気持ちらしいよ」と榊原さんもしっかり伝える。
まさるが、東京のホテルとかは決まったのかな?と聞くと
「それはJYLの窓口で、航空便とホテルはリザーブし東京の観光は杉原さんにお願いして、川渡に行く日は決めて居ません」
「東京の観光は、到着日の午後か歌舞伎と会食かな?」
「そうですね皆さんは若い振りをしているが、翌日杉原さんが観光タクシーをチャーターしてくれるそうで、中型のワンボックスにガイド付きで半日位かな?そのあと新幹線でランチしながら、古川の駅に着くそうです」
「分かりました、古川の方は榊原さんとユウリンと家の彩音さん僕が責任もって対応しますから、お任せください」
「古川は15時ごろだと思いますが、ここまではマカオのJALで決済します、東京の観劇と・会食・観光タクシーは杉原さんが(任せて下さい)と仰っていました」
「分かりました、当地の予定は決めて居ませんでしたがこれからこの会話中に決めます」と榊原さんの顔を見ると、素早く頷く榊原さんだ。
「古川駅から中型のワンボックスかタクシーで、川渡に寄るか温泉のホテルに行くかは、皆さんの意見を聞いてから決めます」
川渡から鳴子温泉は車で10分くらいの距離ですから、夜は温泉に浸かって軽くお食事会で寛いで頂きます、翌日ご希望が有れば近隣の紅葉を見物します。榊原さんこんな感じでどうですか?シンディーさんにも同じですが?
シンディーが「ラッキー」とトーク。
榊原さんが、「グッド」の親指を立てる!
シンディーも温泉や紅葉の散策は最も希望するカテゴリーらしく、お年寄りの企画なのに一番期待して居る風だ。
古川・川渡・鳴子の移動は、当地の家族も同行しますから悪しからず!と伝える。