まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

M&SSの再起動ー5(ミリタリテクで暗号解析)

防衛研究の専門家

SSDの解読班は、暗号部分で手間取り防衛省の知人に問い合わす。

 

防衛省にはNIDS(防衛研究所)と言う、専門の部署がありそこを紹介してもらう。現状の事案の部分を詳しく伝えると、


「それは結構珍しいので、ヨーロッパの軍事関係の担当者を派遣します」と言い承諾してくれた。

1時間くらいで、若い女性が本庁の受付に顔を出し
「NIDSの宮田です」と言いながらスクッと立つ。

 

姿勢が良い人だなぁと思いながら 待って居た柳原警部が

「有難うございます、作業は違う場所で実施して居ますのでご案内します」と駐車場へ降り、車両班に連絡車を出して貰う。

 

2街区位だが隠密行動で、M&SSビルの地下駐車場にはいる。

 キャリアの二人は同窓生

車の中で名刺交換をして、柳原さんが5年後輩で宮田諒子さんと言った。

「なんかお宅の建物も、目立たないように工夫して居ますね」と笑いながら同じキャリア同士で話が合う。

 

宮田さんが
「ヨーロッパに行って居たんですよね」と聞くのでパリの大学院に留学しましたと答え、厳しかったパリの体験を話した。

 柳原警部は入庁後語学研修でフランスに留学して、大学より厳しい制度のグランゼコールと言うエリート養成コースがあり、文科省の審査で推薦されパリ高等師範学校に短期留学したことを話す。

 

柳原警部は、庁内の研修枠で語学研修の希望で、ダメもとでフランス語とドイツ語の希望を出した。

 

その学校は、フランス革命時代に創立された伝統ある学校で、生徒は300人と極く少ないが卒業生は国内の政財界に名を連ねているらしい。

 

「上手く行けば海外の大学か大学院に推薦される可能性があるが、国内の大学院でも外国の講師から本場の授業を受けられるので、今後の為と思って応募しました」と言うと

 防衛省のエリート将校

宮田さんが「私も、キャリアで入省したのですが、2年間防大に席を置いて自衛隊の階級を頂いたんですよ」と笑う。

 

「えっ それでは制服を着て訓練も有るんですか?」と頓珍漢な質問をする。

「それは在りましたよ、あの頃は大学を出て元気でしたから、訓練では男子と同じに扱われ、顔は真っ黒に日焼けし体脂肪率が12~3らいで【お前ほんとに女か?】と揶揄われましたよ」

 

「そうでしたか?それでは内の会社より厳しい新人扱いでしたね~」と柳原さんも笑う

「それでも卒業すると通常は三尉ですが、一尉でしたから次の日から【宮田一尉殿】と先に挨拶して呉れるんですから、面白いですね」と嬉しそうだ。

 

M&SSの解読班に合流した宮田さんは、一目見てドイツ系の軍事用ですねと、持参してきた外国語の辞書と自分のパソコンとタブレットを開いて、ニコニコしながら【この人軍人じゃないね、コンピュータセキュアも暗号も似せているが素人ですね】と、書き出して居た。

 

柳原さんが、ドイツ語の部分と数字の組み合わせ等を書いて居たが

「これは、チンプンカンプンだわ~、HDDだけ持ち去ったのでSSDのダブルメモリーに気付かず、我々としては好都合でしたが~」

「科学者としては優れていたかもしれないが、PCもサイファーも素人だから文字列がめちゃめちゃで、意図して拙く綴っているのか分らないので、解明が難しいですね」

 

「あれっ この人国外に出たのは、先週ぐらいじゃないの?」と聞く。

「その部分は、何回か確認のやり取りがあって、通常の平文で2~3回送受信はが残って居ましたので、手配中です」

 

トランジットはカモフラージュ??

「何か書いてありますか?」と柳原警部がせわしくなる、宮田さんは乱数表の画面と、別のタブレットで一文字づつ追っている

「このメールは、日本から発信して居ますけど、予定をサイファーにして香港国際空港をキーにトランジットの指示が出てるようだね」

 

「何か持って行くようだね、その先の目的地は決めて居ないので一旦入国するはずだが、なんでトランジットと言う文言を使ったのかな?」

 

「このメール文は、何かカモフラージュしている様だね、さっきのお話でチームメンバーがディスパッチしたようですね?」

 

「はい当庁から三名と外務省の領事局から一名の四名で香港に移動中です」

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トランジットに利用するには複雑なレイアウトな飛行場だ

「何で香港なのかな、トランジットなら仁川国際・スワンナプーム国際・チャンギ国際など便利な飛行場を避けて、複雑なトラブルのメッカを目指して行くのは、怪しいね」と宮田さんが呟く。

 

さすが防衛の要に勤務する専門家は、キッチリ見極めている。
「この事案は可なり重いモノを含んでいる様で、家の会社にも報告して置いた方が良さそうだね」

 

「はい分かりました、鈴木審議官が指揮を執って居ますので、お会い頂けますか?」

 

「未だ、ウイルスの培養が何なのかと、ターゲットが何処に絞っているのかが、見えて居ないので時間を掛けて追及しますが、ここまでの感触を報告しながら、こちらのご意見も聞いて置きたいと思います」

 

「分かりました、鈴木審議官は本庁で会議だったのですが確認します」とスマホを取り出し席を外した。

 

宮田さんが、続けて暗号文の解析に取り掛かると、一瞬顔色が変わる程醜悪な文字列に突き当たり、立ち上がる!