M&SSの再起動ー3(各省庁横断の対策会議)
縦割りを無視し対策会議
次長は自室に戻り、受信メモをめくって長官官房に電話をする。
話の中で、各省庁の専門の人材を招集し、その役所の指揮系統に電話で検討できる位置の人材を要請する。
厚労省関連の国立感染症研究所・法務省入出管理庁・財務省の税関関係・外務省のビザやパスポート関連に精通した人材が必要だ、そのためには当方の所持している情報の開示と今日中に集合出来るかが勝負だ。
次長直轄の配下を5名程ピックアップして、関連機関に当たらしている。
先ほどのメンバーは実働部隊で、後2~3名違う役所からコールしたメンバーを組み込み、国内と海外の追跡も想定しながら、中間報告を長官に連絡した。
自分の配下は納得して散会したが、病院のスタッフは感染症関連の情報を纏めを担当。
新たに来る人間はどの程度の人材か~顔を見て~話を聞いて作戦を考えることにした。
夕方の連絡で、病院の細菌研究科の解読班は、細菌は複数借りたが独自に持ち込んだ危険なウイルスを、研究所の設備を操作して増殖した可能性がSSDに残って居た。
変異増殖したしたウイルスを、特殊な容器に閉じ込めて持ち去った様だ。
海外の拠点にメールに、英数字の暗号文があって軍関係で通信するテクニックで、伝達したようだ。
次長は鈴木審議官に指示し、病院の研究所の細菌科に声を掛け、内容を熟知しているメンバーをこの検討会議に合流することを要請した。
病院内でPCのデーター解析班は全体量の半分も進まず、解読班をそのままをM&SSの借りているビルの部屋に移動して、病院から分離して進行することにした。
病院も事の重大さに気付き、積極的に参加して呉れたので、熟知した研究所の所長で細菌学の博士が解読班に付き添い、アドバイスしているようだ。
パソコンの保存ファイルが外国語で、ドイツ語やポルトガル語の他にハングル語も使われているので、目的やターゲットが絞れ切れない様だ。
M&SSが本拠地
本庁の対策会議も、各省庁から参集ると目立つので、M&SSのビルに対策会議の拠点を移し内外の耳目を外す作戦で、出入は地下駐車場から入室することを厳命した。
ハングル語のメールがIPアドレスから追跡すると、都内の某所と通信しているので、本庁の出入も監視下に入って居る様な気配を感じる。
初日の深夜検討会議の出席者は、密かにM&ビルに集結、駐車場に常時待機して居たM&SSの作業車は本庁の下に移動して、省庁の黒塗りの車が入れ替わった。
日付が変わるころ開会した会議は、例外で長官が挨拶次長が概略を説明、審議官が司会の役で進行し、2時間ほどかかった。
名護警視と柳原警部のまとめ
主に解読班の病院のウイルス・細菌科の係長が、パソコンのファイルが広範囲な言語で保存され、その解明に名護警視の部下で言語に強い柳原警部と二人で説明した。
①当初研究資料として、国立感染症研究所から借りた細菌・ウイルス類は5種類で。毒性が低いものだった。それは借りた当時と同じ容器に分量も変わらず、保存されている
②むしろ。懸念される問題は行方不明のX(暫定的にXとして呼称する)が入国の際持ち込んだウイルスがが危険物の可能性がある。
③Xが入国前に都内のアジアの国の関連機関と送受信した内容が、国内では御法度とも言える官庁・大学・病院・自衛隊の研究所の研究能力を分析し、留学研修先を決めた。
④病院の研究場の細菌培養施設の、細菌やウイルスの培養施設と所員の資質もメールで送受信し、ヨーロッパの大学や病院の勤務履歴をチェックし絞って、釣られたようだ。
⑤Xは思想的に偏りが無いが意思は弱く、研究能力は上位だが上司には逆らわず、指示通りの仕事を熟すが、たまに同僚に不満を言っていた様で、手ごろな人材だった。
⑥まだ全容が見えないのだが、Xの賃貸マンションに生活感が薄く他にアジトが有るか、警視庁の所轄に依頼して探索している。
⑦国立感染症研究所から借りたウイルスはカムフラージュで、Xが持ち込んだウイルスの培養が目的なら、2年近い時間を掛けるのは、その裏に可なり大きな企てが有るのではないか?と、柳原早苗警部は、解読した感想を話す。
⑧只今ファイルの解読で時間を費やして居ますが、Xの足跡をナゾッテいては後手になります、せめて並びかける糸口として、香港に飛んだXを国際手配に近い形で追うことが大事かと考えます。
金髪のスーザンが、警察官僚として発言したのをマイケルが初めて聞いたが、中々堂々としていて頼もしいと感じた。
周りの省庁のキャリヤは「あの人は誰だ?」見たいな好奇な目でザワツキ気味だ。
「スーザン警視、具体的に情報をどこまで拡散出来るかが問題だが、インターポールに犯罪者として通報するには、ネタが薄いように感じるが?」と唯一の追跡の糸口は?
「入国審査の写しが、出入国管理所に保存されていると思いますので、チェックを掛けている所です、それとパスポートを複数所持している様なので、二年前の入国と今回出国した西日本の空港に派遣したメンバーが、拾って呉れれば道が付くかと思います」
「それは早いですね、僕は此れから指示するには、時間的には今日ですが遅れたかな?と思って居ました、有難う」
「只今の所の情報として、確認の取れた部分を紹介しましたが、各役所の皆様は把握し切れていないでしょうから、私たちの持って居る範囲ならお答えできますから、ご質問を頂きたいです」と鈴木審議官が発言する。
各省庁も本気度を増す
「出国審査は、入国時の審査書類と「在留カード」の提出が原則ですが、X氏のパスポートの写しか何か提出して頂けないですか?」
「はい分かりました、急な会議で資料が揃って居ませんので、後程お渡しします」
「まだ犯罪者じゃなく、不審な行方不明者なので個人情報の拡散が難しく、添付できなかったのですが~」と鈴木審議官が微妙な事案を示唆する。
「そうだね、出入の書類が虚実なのは想像できるが、確認が取れるまで待ってください」と次長が謝る。
「このXなる人物は、入国後に職場の同僚及び関係者との交流が皆無で、研究室で黙々と実験の日々だったようです。外国人で日本語が話せず生活スタイルを見せず、マンションは本国の領事館がキープして2か月ごとに前払いで振り込まれて居たようです、後で外務省を通じて紹介、問い合わせをしますが、何が危ないかと言うと培養したウイルスの行方が見えず、出国手続きがノーマルじゃないので早く捕獲して真意を確認することです」と鈴木さんに渡す。
「只今次長からのご指摘のように正体が把握できていないのですが、私たちが昨日情報を受け、PCのSSDの解読に取り掛かったのです。
外国語の専門用語を判読しながら【ウイルスの培養設備の性能を分析し信濃町の病院がNIIDに次ぐ機能を保持した事がターゲットにさえ、勝手に培養して姿を消したのです】この先の捜査は、ファイルとEメールの送信先・受信内容の分析に掛かった所です。
この会議はSSDの解読終了とX氏の足取りが見えるまで、15時に連絡会議を開きたいと思います。
ある程度方向性が見えたら、電話かメールの情報の共有を図りたいと思いますが、ご意見がありましたらお願いします」と見回す。
法務省の出入管理の担当から
「足取りの追跡に、実働部隊に一名で宜しいですか?」と積極的に聞いて来た。
「はいそうですね、毎回問合せるのも相互に煩わしいので、暫くここにチーム本部がありますから、アドバイザーでお願いします」
「厚労省としてはNIIDから分析班に参加して居ますが、足跡が見つかるまで一人付けますかね」
「そうですね、お願いします」
「パスポートの重複取得の部分が見えて居ませんが、パスポート・ビザが外務省で入国審査・在留カードは法務省の出入国管理庁の扱いですが、裏付けが見えるまで連絡会議には、お一方お願いします、それでは各省庁のこの事案の担当者・電話番号・メールアドレスをこの紙に記入してください。代表番号ではなくダイレクトに通じるスマホでも良いですアドレスもそうですが、開示しても問題ないモノを記入してください」