ブラウン一家の紅葉狩り-15(ボクシーは栗駒初登攀)
頼もしいフロアディレクター
11時頃派手なロゴのボクシーが、栗駒山荘の駐車場に到着した。
かおるさんのチェロッキーは紅葉ツアーを終り、ブラウンさん夫妻はチェックアウトを12時まで延長し、最後の温泉を楽しんでいた。
かおるさんがフロントに付き、事務を始めていたが番頭代わりに手伝って居るバイトの学生さんが
「めおと道場のお車が到着しました~」と声を掛けて来た。
かおるさんが真っ先に
「はいっ分かりました」と素早く動き脇の通路から駐車場に向かう。
留まって居るクルマは、関係者の車だけでまさると彩音さんが、降りたところだ。
「いらっしゃいませ、柏木さま」と丁寧に挨拶する。
彩音さんが山を見ていたが後ろを見て顔を合す。
「あれっえーと」と思い出そうとする仕草だ。
まさるも何か思い出したようで
「道場開きにお出でになったぁ~ささきさんでは在りませんか?」と逆に聞いてくる。
「思い出して頂き有難うございます、ささきかおるで御座います」と礼をする。
道場開きを回想
「そうだったわね、香織ちゃんとかおるさんであの時は、盛り上がりましたね」と彩音さんも思い出して
「あの時は、アウトドアガールでしたが大分お淑やかになられて、見間違えましたよ」と変身したかおるさんを上から下まで眺めて居る。
「彩音先生は、私の品定めの様に恥ずかしい~」とはにかむ。
「だって本当に見間違えましたよ」とまさるも同意する。
「あの頃は、暇があると山登りに夢中で、登山部を纏めて居ましたから、日に焼けて目だけがきょきょろした高校生でしたからぁ」と言いながら
「山ガールだとこの付近の山じゃ、物足りないでしょう」と彩音さんが質問
「夏休みは関東とか四国の岩場に、合宿みたいに遠征しました」と言う。まさるが
「谷川とかの岸壁もアタックして居たんだ」と感心した顔だ。
「女子だけじゃ難しいので、複数の高校が合同で遣ったことが有りました」
「大学では、山と縁が切れたのですか?」と聞く。
「仙台までの通学時間だけで、クラブは文科系に席だけ置いて、土日は此処に来ています」
「そうかここは黙っていても登山だもんね」とまさるが茶化す。
かおるさんが 「はいっ失礼しました、ブラウンさんたちはお風呂を楽しんで居ます、どうぞお入りください」とホテルの玄関に向かう。
「ブラウンさんたちは今晩も泊まるのかな、昼風呂でのんびりしているようですね」
「先ほどまで、山道をドライブして紅葉を見て来たので、汗を流して貰って居ます」と玄関に入り、フロントに向かって
「マスターはどちらですか?柏木さまをご案内してきました」と伝える姿は頼もしく、すでにリーダーの風格だ。フロアデレクたーの様にきびきびした対応だ。
燃える様な栗駒のもみじ
かおるさんがまさるたちを、ロービーにに案内し
「いま。マスターが挨拶に来ます、少しお待ちください」と礼をしながらフロントに戻りながら、階段を降りてくるブラウン夫妻と眼が合う。
「ブラウン様、只今柏木さんご夫妻がご到着致しました、ロビーにご案内しました」
「かおるさん有難う」と言いながら、ロビーを見る。
「やぁ~まさるさん彩音さん、申し訳ありませんね」とブラウンさんが嬉しそうに近寄ってくる。
昼風呂を楽しむ
「お早うございます、もう朝から一ぱいやったんですか?」と冗談を言うと
「あぁ 赤い顔をしていますか?今露天風呂を許可して貰いましてね」
啓子さんもほっこりした顔で
「わざわざお迎え有難うございます、昨日と今日の二日だけどみんなーに良くして貰って有難いです」と礼をする。
その後ろから、ホテルのマスター佐々木健四郎さんが
「ブラウンさんお疲れ様でした、柏木さん山道をお迎えの役有難うございます、毛利さんもこのホテルとは昵懇の間で、気軽にお客さんを紹介し自分で運転してくるんだが、彼は泊らないので、帰りはいつも気を使いますよ」と挨拶する。
「毛利さんは、ガイドさんだけでベラベラ喋らないで、我々の関心が有る所は丁寧に話してくれましたね、凄く気分が良かったです」とブラウンさんが呟くように話す。
「ゆうべ私も話しましたが、柏木の爺さんと縁が有ったようで、分らないもんですね人の繋がりは、かおるさんも私の道場に遊びに来ていたとは~」とまさるが話す
噂をしているとかおるさんが
「みなさまお食事のご用意が出来ました、どうぞ」と会釈する。
「あっそうか みなさん山のホテルの食事ですが、お口に合うか どうぞ」とマスターが咲き立って歩き出す。
ブランさんが「私は昨日からご馳走になって居ますが、土地のモノを活かし美味しいお料理でしたよ」と食べる前に褒める。