まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな-18(山形のお友達ー5)

リー家の決心

シンディーは、ほんの2~3分で車を離れ、丁寧に頭を下げている。

さっきまで話あって居てた全員が玄関に出て、シンディーが何を話しているのか気になり眺めている。

そんなこと気にせず、スキップするような歩き方でシンディーが戻って来た。

「シンディー柏木さんにプロポーズでもして来たの?」と幸子さんが責めるような口調だ。

「そうですね、そうかも知れませんねぇ 」とニャケた顔をする。

「なんてことするの!川渡に彩音さんや壮太くんが居るのに!」と怒り出す幸子さんだ

 

「幸子待ちなさいよ、シンディーさんに詳しく聞いてから怒りなさいよ」と窘める伸子さんも、不安そうな顔だ。「だって~あんなにお世話に成った彩音さんたちに、申し訳なくて~」べそをかいて居る。

「ごめんね、幸ちゃん!実は今晩にでも皆様に打ち明ける予定でしたが、おかぁさん良いですかぁ~」と和子さんに目顔で念をおす。。

「そうですね、皆様にはご迷惑な話かも知りませんが、今回こんなご縁が出来たので率直なアドバイスなどを頂ければ、嬉しいですね」と静かに話す。

 

真司さんが、遠くの山が見える玄関わきの応接室に皆を誘導するように、先に入り窓を開き「さぁ聞くのがコワイ様な気がしますが重大な話のようですから、遠慮なくお話して下さい」と言いながら

「シンディ―さんや柏木さんの家族のような真摯な対応で、幸子が蘇ったのだから、今日はお祝いの日にしようと考えて居たんだ、不都合な事なら後で聞いた方が良いが、そうでは無いようなので聞きたいですね」と周りを見渡す。

 

「うちも長男家族が裏に住んでいるが、二人とも工場で働いて居て子供たちは縁側でおやつを食べています、直接関わっている次郎さんは仕事で出かけているので伝える事が有ったら私から話します、楽しそうなお顔なのでお願いします」司会のように促す。

従妹子供たちは、おやつをもらったのか縁側で楽しそうに騒いでいる。


シンデイーが、お礼を言いながら切り出す。

<最初は、隣の国の国際問題のような話で、みんなが固まる。いつもニュースで聞いて居るような話題で、当事者のシンディーが話をするとみんなも納得する。

隣の大国が隣接する、都市国家を併合し、同じように独立を主張する兄弟国を虎視眈々と圧している現状は、シンディーのビジネスにも影響する。何年か前から母親和子さんと話し、シンガポールか日本に移住する話をしてきました。

今回日本へ旅行する話を聞いて、即答で参加しました。東京見物して、川渡へ来て家族のように歓待され、昨夜も二人で話しあって決めました。

具体的には誰にも相談せず、今回、この場で他の人と共有したので、これから母の実家にも相談し早い時期に決めたいと思います>と、台本も無く一気に話した。

 

幸子さんも口を開けたような表情で、笑みも無く声も出さない。

「シンディ―さんがそんなに深刻な事情だとは気付かず、申し訳有りませんでした、私たちが何か手伝うことが出来たらすぐ連絡してください応援します」と真司さんが丁寧に頭を下げ、おかぁさんの伸子さんが「幸子の為に奔走しながら、別の重大な問題を抱えていらっしゃたとは、本当に有難うございます」と礼を言う。

 

「川渡の柏木さんたちは、家の倍くらい大きな会社だから心配はしませんが、同じ建築屋だから何か手伝うことが有るかも知れませんから・・・」と念をおす。

 

「いや~このことは天童を離れるとき話そうと思って居たのですが、柏木まさるさんにはしばらく会えないので、事前に話そうと考えていますので、さっき大体の事を伝えました、まさるさんとは私が高校時代からの知り合いで、私と祖父と榊原さんの4人は大げさに言えば戦友みたいな仲なので~」と締めくくる。

シンガポールのイメージ

「そうか移住問題か~重大な決心ですよね、ただ引っ越すだけの話しじゃないから、国が替わることは想像できないなぁ」と真司さん。

「いや~私が岡山出身で日本には2~3年に一回は来ています、昔は考えて居なかったのですが、時代の変化ですかね同民族に対しても、かなり厳しい軋轢があり従わない人間は虫けらのような処断で、知り合いの同民族の人も、シンガポールか日本に移住を考えている、漏らします」

丹沢から富士山日本の国土も決して平坦では在りませんが富士山を見るとホッとするのはなぜでしょうか?

所轄はテンヤワンヤ

まさるは天童署の駐車場に車を入れ、一呼吸置いてドアを開けて外に出、背伸びをしながらさっき通過してきた蔵王連峰を眺めていた。

軽くクラクションが鳴ったので振り向くと、大型セダンの公用車が玄関前の駐車場に入り停まる。

ラフなブレーザーでチョット右手を上げた。随伴の二人も面識はないが、キチンと敬礼をして居る。庁舎の入り口で衛門して居た所轄の若い警官はそれを見て驚き、県警の車両に小走りで寄って事情を聴いて居る。

 

誰かが察大(警察大学)の教授だと言ったらしく、慌てて飛んできた。

「失礼しました、車両のロゴで判断してしまい申し訳ありません」と帽子を取って謝って居る「いや~公用じゃないし一般車両だから気にしなくて言いよ」まさるも気軽に言い「ちょっと県本部の友だちと会うだけで、本当は庁舎に入るべきじゃ無かったな」と斉藤くんを見る。

斉藤くんも近くまで来て「しばらくです」と握手し「ここの署長に逢ってくださいよ」と誘う。

「でもなアポなしで飛び込んじゃ悪いよ」

「大丈夫ですよ、事案の発信元は川渡ですから、当事者ですよ」と歩きながら庁舎に入りかける。

さっきの衛士が受付に通し、それらしい顔ぶれが、横一列に並んで敬礼している。

斉藤くんは、制服で其れなりに威厳があるが、まさるはカジュアルシャツにブレーザーなので、相手も戸惑いの顔だ。

そのまま署の幹部も、繋がり署長室の続き会議室に入り、名刺交換をする。突然田舎の所轄に、察庁直属の大学教授がアポなしで飛び込んできたので、署内が騒然とした緊張とざわめきが入り混じって居る。