まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな-16(山形のお友達ー3)

天童のご一行さんも、幸子さんが思いのほか回復し表情が明かるくなったので、昼前に席を立つ気配だった。

温泉の本場の客が露天風呂の接待を受ける

祖父が「折角温泉場に来たのだから、ひと風呂浴びてゆっくしりしてくださいよ」と声を掛ける。

 

幸子さんの父親が驚いて「ここへ着いた時、何となく硫黄の匂いがしたので鳴子だなぁと思いましたが・・・」おかぁさんの伸子さんが、驚いたように少し戸惑った顔をした・・・

「そうですよ、鳴子の源泉を分けてもらって、垂れ流しの露天風呂を造ったので、お楽しみください」

 

彩音さんが、浴衣とタオルなどを用意して「ちょっとの間寛いでください、男女時間帯で仕切って居ますので、お爺様 先にご一緒してくださいますか?」と祖父に声を掛け

「うん そうだな~じゃぁお父さんと叔父さんどうぞ」と立ち上がる。

 

男性陣が露天風呂に行く後ろ姿を見ながら、幸子さんが、面白そうに「楽しそうね」とシンディ―を見る。

「そうなのを、道場で汗をかき露天風呂で流せるなんて贅沢よね」と笑う。

幸子さんの母親も、娘の笑顔を眺めながら、まさると彩音さんにそっと頭を下げる。

 

お客さんたちが風呂に行き、入れ違いに榊原家の子供たちが、柏木家の長男壮太くんの手を引き、道場のランチを楽しみに「おかぁさんお腹すきました」と飛び込んできた。

ユウリンが「まぁ~なんて行儀が悪いのっ壮ちゃんに笑われますよ!」と睨む。

彩音さんがまさるの顔を見ながら、頷き

「はい分かりました、お客さんたちがお風呂に浸かりって居ますから、もう少し待ってね~壮ちゃんのお相手ありがとうね」と、キッチンに向かう。

蕎麦屋さんの出張デリバリー

キッチンには二人の男性が、てんぷらやお湯を沸かすやら忙しそうに動いている。

「急な話で御免なさいね」と彩音さんが詫びを言いながら器など並べ始める。

「いやぁ~10人以上なら、出前より出かけてきた方が、楽で美味しいモノが出せますよ、それにここの調理場は設備が本格的なので楽しみですよ」と親方が笑いながらてんぷらを揚げている。

 

お客さんが到着したころ、祖父が鳴子の知り合いの蕎麦屋さんに、出前を頼んだら

<こっちは若いのに任して、車で行くからお湯を沸かして置いてよ>と請け合って呉れた様だ。

道場開き以来、三回目のランチそば屋さんだ。

 

女性陣のお風呂も、幸子さんとおかぁさんとシンディーとユウリンも一緒に、ゆっくりしたかったがランチが気に成り早めに浴衣に着替える。

彩音さんと榊原さんの子供たち修仁(シュウレン)恵姫(ハウメイ)は、お蕎麦屋さんの手伝いで賑やかに配膳を手伝う。

叔父さんの会社が保養所にして居た建物で調理場は広い

 

お店のそばの様にお味も器も本物だった(^^♪

修仁(シュウレン)くんが「おじぃちゃん両方を食べても良いですか?」と聞くと、みんなも笑う。

「そんなお行儀の悪いことはダメよ!」とユウリンが小言を言うと、お爺さんが「大丈夫だよ、今日はお蕎麦屋さんが出張して呉れたので、何人分でも食べなさい」とお許しが出た。

壮太はユウリンの傍に座り、じぃじぃの話が分かったのか手を叩いて喜ぶ。

 

天童のお客さんも「それでは遠慮なく頂戴します」と箸をとる。

茹でてたばかりの香りのいいお蕎麦は、幾らでも食べられそう。

 

幸子さんも、何年か振りに家族共々賑やかなランチに成り、ご両親も 付き添ってきた叔父さんも嬉しそうに食事が進む。

 

柏木家も榊原家も、昨日まで、気弱な病人だった幸子さんが、シンディ―と話しながら食べている姿を見ると、来てもらって良かったとホッとする。

幸子さんとシンディ―は年は同じだが、シンディ―は年上に見える、マカオでは事業主で、一般人でない裏稼業の人とも対等に仕事を熟しているので、当然だろう。

 

今日は、弓道場も柔道場も通常の練習日で、何人か稽古しているので彩音さんがみんなの意向をきいて、それぞれの道場に人数分をランチサービスで運んだ。

なにしろ弓場は壮太の遊び場で、お客があるときは一人で廊下をヨチヨチ歩き、おもちゃのあるお部屋に入る。塾生が保母さん代わりに遊んでくれるし、子ずれの塾生も慣れてきて一緒に習いに来る。

 

祖父が当初壮太の遊び場をどこかに作ろうと考えてが、弓道に女性が多いことに気付き、本業の大工作業で弓道場から矢とり道に入る部分に、2.5mX4mほどの畳式の小部屋を造り、子ども遊び場に設けた。

間違っても矢が飛びこむ角度ではないが、矢取り道の続きの屋根があり、矢道側にアクリル板の窓替わりで、両側に透明ガラスドアを付け開放できるので、見所や道場から中の様子が良く見えるように出来ている。

 

リー家のスケジュール変更

シンディ―母娘は、幸子さんの事も気になるが、暫くぶりに帰国したので母の実家にも寄りたいので、所長や叔父さんたちと別れて行動することを相談していた。

 

幸子さん母娘も、シンディ―が時間があるなら是非天童に寄って泊って呉れと、言って居た。

別行動の所長たちに相談して返事することにして、天童組は夜にならない時間に帰ることになり、電話とメールなどで連絡を絶やさないことを約束して帰って行った。

 

まさるの同期が身近に居た

山本さんたちが帰宅後、電話した斉藤くんの返信は20分位できた。相当早い!

役所の対応としてはすこぶる早いと言いたいが、同期の警視から直接の要請なので即断即決の反応で仕切ったようだ。

理事官付けのスタッフへの指示も緊迫し、すぐにも所轄に飛びそうなので慌てて所轄の副署長に問い合わせた様だ。

 

電話聴取の情報だが、6年前の被疑者は斉藤くんの出身地の寒河江でも結構悪さをして、拘留さるた事件が数回あったが、処分保留で釈放され、街の人は警察の甘さを指摘したが、近隣の札付きのチンピラだった。

察庁(警察庁)の協力者榊原氏の客人で、マカオから来た友人が絡む事案で、県警も虚を突かれたように慌てた。

 

本庁から赴任したキャリアの指示だが、県本部の刑事部も地元のマルボウと署轄が絡んでいる気配を感じた、緊張している。

署轄とマルボウがべったりで、この事案も配下のパシリの傷害事件として重きを置かないようだった。本部にあがっても、捜査の進展は無くウヤムヤに処理した様だ。

不審を感じた斉藤くんが、責任をもって追及すると約束する。

 

まさるは、地元の事情も考慮しきっちと折り合いをつけて、配下の刑事課には腹を割って話せば<天下りのキャリアさん>と舐められることも少なくなるし、事案の解決には同僚として動けば弾かれないだろうから頑張ってくれと、激励する。

 

まさるの電話が終わると、シンディーがみんなの前で話し出す。

マカオの仕事は順調だが、女性が人材派遣と海上輸送業は可なりハードなので、共同で遣って居るシンガポール生まれの男性に、譲り渡そうかと考えて居ることを切り出す。


おかぁさんも知っている話題らしく、頷いて聞いて居る。榊原さんの下で海上輸送の経験もあり、人柄が良いので事業を譲っても顧客に迷惑は掛からないと考えている。

今回もシンディーの事務所で仕事を、任せている間柄で年は30台だが妻子も居り、近くのマンションに住んで家族ぐるみの付き合いでもある。

 

まさると彩音さんも、静かに聞きながら目を合わせて頷くが感想は話さない。

 

所長たちが夕飯前に戻って夕食は賑やかに、出羽三山参りの話で盛り上がる。

マカオと天童に行き先変更

話しの区切りいい所で、シンディーたちのスケジュール変更を切り出す。

母と相談し、日本に少し居ることを決め岡山の母の実家に寄ることと、学生時代の友達がパニック障害の閉じこもり状態なので天童の自宅に見舞うことを伝える。

 

所長や叔父さんは仕事関係があるので、予定通り帰国する事にしてリー家の都合を最優先ににすることを了承する。

 

トラベルコンダクターのシンディーが外れると、まともに香港経由でマカオに帰れるか不安の様子だ(^^♪

榊原さんとまさるが送迎の分担を決め、仙台空港は榊原さん天童行きはまさるが担当、まさるが県警の斉藤理事官と落ち合い二次的被害のような、幸子さんの経緯も伝えたい。