まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな-15(山形のお友達ー2)

シンディ―が絶句

シンディ―は、受話器を持ちながら顔色を青くして「うん」と「そう・・・」と会話に成らない通話をして居る。

ユーリンと彩音さんが傍に寄り添い、顔を覗き込む。受話器から漏れてくる声ははっきりして、そんなに深刻じゃないように聞こえる。

 

「わたしは今、榊原さんと柏木さんの家にお世話に成って居ますが、幸ちゃんのお話をこちらの人たちに話しても良いですか?」と聞いた。

「はい、分かりました。そうします・・・外出は大丈夫なの?・・・はい分かりました・・少しまってね、うん・・・」と言いながら、4~5メートル離れて、興味津々のみんなに「明日の午前中にここで逢いたいと言うの、大丈夫でしょうか?」とシンディ―が心配顔だ。

一番先に、祖父がみんなの顔を見渡し、頷き

シンディ―は直ぐ「大丈夫です、お待ちしていますと、お伝えください」と返事し

シンディ―が、「何時でも良いですから、ゆっくりお出で下さい、会えるのが楽しみね・・・お気を付けて」と受話器を静かに彩音さんに渡す。

 

気を落ち着けるように、目を閉じていたが

「さっき話題になって居た「人間将棋」の祭りのようなイベンの日、付き合って居たKくんと夕食を取ろうと、お店を探しているとき暗がりから刃物を持った男が、Kくんのわき腹を刺して逃げたようです」

 

「近くのお店から救急車を手配してもらい、入院して命は取り留めたがその時先方の家族から絶交を宣言され、そのショックで思考がとまり家から出れなくなったようです」

幸子さんは鬱状態で外出も出来ず、自室に閉じこもり状態が続いていた!

続きは、お会いした時話すからと言いながら、この電話の最初とはガラッと変わり、Kくんと言ってから普通の声音になったような気がしました。

 

このやりとりも、マイケルと二階堂警部には感ずかれず、事が済んだ。

翌日、まさるが二人を新幹線に間に合うように車に乗せ<榊原さんと車でお客の接待が続くので、時間のあるうちに送るから>と、名残惜しそうな眼を見ない振りして走り出す。現役の若い警部が、シンディ―の話を聞かせたら特例出張を延期して<捜査に協力します>言いそうなので先手を打って【お帰り頂いた(^^♪】

 

未だ、先が見えない事案をコトサラ荒立てる事は、好ましくないと判断する!

 

天童から来客

翌日10時前にワンボックスに、幸子さんと両親、運転は隣の母親の弟喜田川次郎さんが付き添いを兼ねて来た。

シンディ―と幸子さんは、玄関わきの子供たちの学習ルームで話してもらい、ご両親とまさるたちはリビングでざっくばらんに話を聞いた。

運転してきた山本さんは、地元の市会議員を務め事案の事情を良く把握して居た。

札付きのYは戻っている様だが、所在は分らない。警察でも深追いしていない様だ。

姪のの幸子さんが回復するなら、どんなことでも遣る積りで今回も相談請けて、即決で運転役を引き受けたと言う。
ただ、昨夜の幸子さんの反応がどの方向に回復していくのか、しっかりホローしてゆきたい、言う。

おかぁさんもここ5-6年の間、漂然として何の意思表示も出来なかった娘が、シンディ―さんと二言三言話しているうちに、顔色に紅をさし笑顔になった時は「何が起きたの?」と聞いてしまったと、実感を話す。

「今日は、ご迷惑を顧みず娘の言うがままに、急なお訪ねに成りました、大変申し訳ありません」と頭を下げる。

お父さんの山本さんは、社員50人ほどの建築会社を経営しており

「男親はこんな時何にも役に立たず、女房に頼りっきり任せっきりで、私より次郎さんの方が動いて呉れています、幸子が直接ケガをした訳でも無いので、上げた拳を何処を打つか懸念して居ます」と家族の苦悩が痛々しい限りだ。

 

襲った男Yは、中学時代幸子さんの同級生で何度か交際を申し込まれていたが、不良グループで嫌いなので無視して来た。卒業後も定職に就かず遊んでいる様だった。

何度か警察の厄介にもなって、評判の良くないYだった。それが今でも「幸子さんと付き合って居る」と言い触らしていたらしい。

幸子さんは郊外に住み、Yは中心街の裏町で飲食店やマルボウのパシリだった。

交際相手のKくんの家は、両親は小中の教員でYの噂話を信じていて、幸子さんとの付き合いを疎んじて居たようだ。Kくんの入院直後、病院で断られ追われるように外へ出され、泣きながら帰った状態だった。日々の生活は完全に壊れたが、家族関係は静かに推移して外出脅威症だけ尾を引いて来た。

 

Yの行方は、警察もマルボウのチンピラの傷害事件には本腰を入れないようだ。

今のk君はベッドから離れられず、寝たっきり状態の様だ。先方の両親はYの事より幸子さんを恨んで居るような噂が流れてくる。

この辺のいきさつは、地元が根も葉も異なる話を、ことさらに弱い者いじめになって居る。

学友は去り日を回想

学生時代の二人に戻ったように、めおと道場の玄関わきの学習ルームから笑い声が廊下迄漏れてくる。

山本さんたち天童か来た3人の親族も<来た甲斐が有りました>と嬉し涙を流してる。

再会が、何よりのクスリの様だ。友達同士がだったのか、良薬になって居る様だ。

 

マカオのリューさんがガイドブックの出羽三山に興味が有る様なので、榊原さんが自分の車で所長夫妻と香港のハウ叔父さ夫妻を、鳴子から山形の観光に向かった。

湯殿山入り口

出羽神社羽黒山の頂上(標高418m)

 

月山山頂


シンディ―母娘は居残って、天童の皆さんと懇談している。

ユウリンはシンディ―の友人として話し合いに同席、子供たちはめおと道場に来て稽古をしている様だ。

まさるは、天童の来客に断り少し離れた椅子に掛けスマホで会話している。

「元気か斉藤くん」と呼びかけ、まさるの友達の友達の件としてYの事案を問う。

斉藤くんが<赴任前の所轄の話だが>と切り出し<被害者が人生を絶たれ寝たっきり状態なので、親族を含めて対面して居ること>を伝え事案の進捗が分かったら教えて欲しいと伝た*日時・所轄・事案・容疑者名など一般報道並みの情報だが・・・