まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな-14(山形のお友達)

シンディ―のお友達探し

シンディ-がスマホのアドレスを見ながら、山形県にお友達がいると言う。

ユウリンがシンディ―のスマホを覗いて、電話番号を書き出し彩音さんに見せる。

「あぁ天童か~あの辺は、サクランボと将棋の駒が名産だったなぁ」と祖父が口をはさむ。

その脇で、まさるも何かありそうだ。「サクランボか~」と考え込む。

「まさるは、ボケる年でも無いだろうに~」と祖父が笑う。みんなも関心を示して、まさるを見ている。

「あっそうだ、サクランボ繋がりだね、寒河江出身の斎藤だ」と思いだし

「斉藤も警視になって、何処かの県警に移動したようだが~山形だったかな」と言いながら、自分のスマホの住所録をタップしている。

 

まさると祖父が話すのをシンディーが興味深そうに聞いている。

「それでシンディ―さんは、天童へ行って見たいの?」と祖父が聞く。

「わたしは学生時代に、深圳で2年ぐらい下宿した時、隣の部屋だったので、中国語を教えたり私は日本語を教わったりして友達になったんです」と言う。

シンディーの母親が「そうだったね、あの人帰国してから何度かサクランボを送ってくれたね」と話す。

「そうなんです、5~6年前に結婚するような話が合って、その時体調が思わしくないと手紙が有ったので見舞いを出したのですが、返事が無かったので気になっていたんです」と、余りいい話ではない様だ。

 

「そうか、病気になったのかな?」と祖父が心配顔になる。

「それも良く分からないので~」とシンディ―が沈んだ顔になる。

ユウリンも電話番号のメモを見ながら

「一度、電話をして確認してみたら」と言うと、まさるが慎重に

「何かありそうですね、先に僕が掛けてみましょうか?」とスマホを開く。

「待って、まさるさんより私が適役でしょ、何か匂いますね」と彩音さんがと固定電話の子機を取る。

 

この時間は、他のお客と榊原さんの子供たちは、斉藤こずえさんたちの弓の練習を見学に行って静かになった処だ。

二階堂警部も所轄で生安に所属した経験があり、事件性の話題には敏感になるので丁度良い具合で、話ができそうだ。

 

「そうだな、元プロのおまわりさんの方が良さそうだな」と、まさるは事故か事件を想定したように少し緊張している。

彩音さんも、現役に戻ったように素早くユウリンのメモを見ながら、プッシュする。

 

1分くらいして、先方の苗字を確認し「幸子さんは、いらっしゃいますか?」と問う。

「あぁそうですか、お元気なんですね?私は柏木彩音と言いますが、幸子さんの学生時代のお友達が日本に来て、気にして居たのでお電話したのです」

 

「ハイそうです、中国の深圳でご一緒だった、マカオのリィー・シンディーと言うお嬢さんが、宮城の川渡温泉ですが、お近くなのでお電話したわけです」

「幸子さんがおやすみなったのなら、お伝えくださいXXX-XX-XXXXですが、ご気分が良くなったらお電話してください」と言って、電話番号を繰り返して伝える。

 

彩音さんは、電話を終わって少し整理するように目を瞑っていたが「幸子さんは、体は元気だが「閉じこもり」の様な症状で、食事はきちんと摂るが外出はせず、時々縁側に出て遠くを眺めているが、お客が来るとご自分の部屋に入って本を読んだり、時々テレビを観るような生活らしいです」

「う~ん でも外を眺めるなら、なんか切っ掛けがあれば戻るなぁ」と祖父が。

「そうですね、やはり結婚のことかな?」とまさる。

 

「済みませんでした、余計なことを言ってご迷惑を掛けました」とシンディ―が謝る。

「シンディ―さん謝る事じゃないのよ、何か私たちが出来ることが有る様な気がしてこっちの電話番号を教えたのよ」と彩音さんも経験から、トラブルをの匂いを感じたようだ。

 

祖父も「あの辺はサクランボと「将棋の駒」が名産だが、山と川が近くいい所だよ~」と、思い出した様だ。
まさるが「人間将棋合戦」みたいなイベントが名物らしいですね」

「うんそうだ、人間が将棋の駒になって盤上に椅子を置いて、指し手の声に応じて動くらしいな」と興味深そうだ。

今まさに合戦前の装備点検中??

静かなたたずまいの天童市役所

その夜は、何となく後ろ髪惹かれる気分で散会、祖父の提案でお客は全員道場の客間に泊まることにした。

榊原さんが、自分の家に泊まってもらう積りで、段取りして居たが全員はムリなので、まさるたちの好意を受けいれ、元社員保養所の部屋にセッテングをして居た。

各部屋は、10畳間の大き目の部屋4室に3家族一組の察庁組に部屋割りして、就寝前に温泉に浸かってリゾート気分を味わってもらった。

 

まさるたち家族も、榊原さん家族も応接代わりの食堂で明日の予定など話して居る最中に、先ほど掛けた番号から折り返し掛かって来た。天童の幸子さんからだ。

最初に、おかぁさんが驚いたように「柏木さんの話を伝えると、最初はいつもと同じように気力の無い表情で『誰ですかその方は』と言いながら【マカオのシンディ―さんが隣の川渡の温泉に居ることを伝えると、驚いて急に泣き出しました】その後、少し落ち着き、顔が明るくなり此れから会いに行きたいと言い出す始末で、夫と隣に住んでいる私の弟に相談して、明日の午前中にお会いできないか、お電話したところです」

 

「分かりました、幸子さんは今話せそうですか?シンディ―さんを呼んできますから、少しおまちください」と受話器をまさるに渡し素早く動きく。さすが元警部、足音を消して滑るように廊下を移動する。

シンディ―が来る前に幸子さんが出たようで、まさるが応対し挨拶して居た。緊張したシンディ―に受話器を渡す。みんなもシンディ―の傍から距離を取り、待機する。

直前まで重症だった女性が、どんな話をしてくるのかも気になる。

 

旅先のシンディ―の行動に制約があるので、フォローの意味もあるのでスケジュール調整だ。シンディ―の母親も起きてきて、合流する。

しばらく、お互いの近況を話して居たが、シンディ―が驚いて急に大きな声を出した。

『えっつ』と言って、立ち上がり天井を見ている。