まさる弓道の段級審査にチャレンジ!
まさるの朝練
二人は審査前の特訓中
まさるは夜は、弓道場半分だけ扉を開き外の灯が漏れないように工夫して弓を引く。
ときどき。彩音さんも付き合い修正しながら、2時間ぐらいは射る。
道場が完成して約一年、彩音錬士5段の指導でぎくしゃくせず流れるような体配は、錬士の風格だ。弓道に精通した人でも、5段ぐらいに見える。
市役所の小野寺さんが、柔道の昇段審査が近いので少し時間を掛けて稽古したいと、土曜の朝7時前から駐車場で待って居たらしい。
まさるが気付かず、弓を引いて居た。未だ閉まって居る柔道場を回って顔を出した。
「お早うございます、未だ早いですよね」と、笑顔で挨拶する。
まさるは、夜だけでなく今朝は夜明けと同時に、引き始め一汗かいたところだ。
「お早うございます、今朝は早いですね何かありましたか?」と聞く。
小野寺さんの事情を聴き、まさるも同じような境遇で特訓中だ。
まさるは家人にも気付かれないように、静に振舞って居たが、的に中る音はする。
「まさる先生が、弓を引いて居るのは気付かないのですが、車の中でウトウトして居ると時々「ポン」と言う音がするので、覗いて見てしまいました」
小野寺さんの特訓
「私も、奥さんに教わっているのですが、ソロソロ段級審査の準備をと、夜と早朝に静かに引いて居ます」と、まさるも頭を掻き乍ら、弁明をする。
そこへ既に着換えた彩音先生が顔を出した。
「何ですか?朝早く男性二人がヒソヒソ話で盛り上がったりして、気持ち悪~い」と、扉を開き始める。
彩音さんが
「如何したんですか、係長も弓をお引きになりますか?」と、誘惑する。
「私は弓じゃなく、汗を流そうかと車で来たのですが、早すぎてウトウトして居ると、的に中る「ポン」と言う音に誘われ覗いて見たところです」
「うちの旦那さまは、段級審査に備えて朝と夜に特訓して居るのですよ(^^♪」と、言いながら
「ご本人は、静かに起きて抜けだしたつもりですが、私は、もうひと眠りと寝た振りをしているだけで、結局続いて起きてしまいますね(^^♪」と笑う。
「やっぱり気付いて居たんだぁ~」と、まさるは弽を外しながら
「柔道場も開けますか~」と、弓を立てかける。
小野寺さんは、大きな体で恐縮しながら
「すみません、朝から人騒がせな事で申し訳ありません」と、駐車場の方に行く。
彩音さんのモーニングサービス
「まさるさん、小野寺さんとモーニングしてから、付き合ってあげてぇ~」と、彩音さんがキッチンに戻る。
そこへ。香織さんとお爺さんが起きてきて
「誰かお出でなったのぉ~」と、香織さんが欠伸しながらパジャマのまま出てくる。
まさるも柔道場に向かいながら
「小野寺係長が審査前で、お稽古に来たんだよ」と、道場のドアを開ける。
香織さんは、パジャマのまま道場の入り口に駆け出しカギを外して、ドアを開ける。
「あぁ~御免なさい香織さんも起こして仕舞ったね」と、小野寺さんがバックを持ち笑って居る。
「あらぁ~恥ずかしい~着替えていませんでしたぁ」と、廊下を急いで逆戻り。
「小野寺さん、お食事前でしょう~うちも此れからですからご一緒しましょ」と、彩音さんが声を掛ける。
道場の、窓側のシャッターを開けていたまさるも
「着替え前に、軽く食事しましょうかぁ」と、窓開けの途中で戻って来た。
「休日の朝からお騒がせして申し訳在りません」と、頭を下げる小野寺さんに
「知らない方でもないので、気にしなくて良いでしょう」と、祖父も顔を出した。
こうして「めおと道場」の一日がスタートする。