ブラウン一家の紅葉狩り-7(姉弟の演武に感激)
スーザン・マイケルの成長を披露
スーザンとマイケルはとマイケルは勤務が有るので、20時39分のやまびこで帰ることにしてた。
川渡に帰ってスーザンとマイケル姉弟が武道の稽古を披露する。
マイケルとまさるが、柔道で乱取り風に交代で技を掛け合う。
その後で、空手の稽古を続けこっちもマイケルが巨体を空中に飛ばして飛び蹴りを、まさるが片手で躱し着地と同時に突きの寸止めなど、常時真剣勝負の厳しさを披露する。
スーザンと彩音さんが合気道の模範演技を実演、彩音さんは「取り」専門で身体を殆ど動かさずスーザンの受けも鋭いが、1年ちょっとなので完全ではない。
啓子さんとブラウンさんが、娘の合気道を初めて見てこんな激しい武道をやっても彩音さんは呼吸も乱れず、汗もかいていない。
スーザンはへとへとになって飛んだり跳ねたりするが、彩音さんの優雅の手さばきで身体迄届かない。
最後は、まさると彩音さんの合気道演武を披露、彩音さんは体の芯を少しズラして、まさるの仕掛けを躱す術は目にも留まらない早さで、着地寸前に手首の急所部分を押さえ軽々と裏返しにする。
一通りの稽古をして、左右に別れ正坐の礼をして終了する。
それまでは掛け声程度で、無駄な会話も無く、アイコンタクトで次の種目に変わって居たが、厳しさを感じたご両親が、思わず拍手喝采。
祖父と正一さんたちも観戦して居るが、いつもの稽古より厳しさを感じたようだ。
「まさる!今日は気を張っている様だね」とやんわり聞いて来た。
「分かりましたかお爺さん~」と言いながら彩音さんの顔とブラウンさんを見る。
「実は、ブラウンさんたちに見て頂くのは今回が初めてですが、そう度々チャンスが無いだろうと、誰にも言って居ませんが真剣勝負に近い稽古をしました」
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ブラウンさんが納得顔で
「そうでしたか、子供たちの稽古は沖縄の道場では見て居ましたが、最初の柔道と空手は見ている方が体を捩じって交わそうとしちゃいましたヨ」
武道の専門家は心得ている
「やはりコロラドスプリングスですか?武闘のカリキュラムは厳しいですかね」
「ハイスクールでも、格闘技がありましたが体が出来て居ないので、コロラドでは基礎体力をみっちりやられました、ただ日本の武道の様な柔軟な筋肉ではなく、ポパイの様に筋肉を付けるトレーニングなので、真剣に格闘した場合は柔道や空手には敵わない訳です」
「空軍も当時は撃墜された場合、生存するためには敵地で格闘を想定したトレーニングを可なり時間を掛けましたね」
夕食の支度を花代さんとおばぁちゃん・香織さんに任せ、スーザンも彩音の影響で弓を習って居ると言うので
「ご両親に見せてあげたら」と誘う
「 未だ四つ矢で羽分け位よ、でも良いのか 引くところを見せるか(^^♪」と弓道場に急ぐ。何本か肩入れをして、グラスの18キロのを選び
「これお借りします」と彩音に断る。
まさるが見所にマイケル夫妻と祖父を案内し、自分も引く用意をするためロッカーに行く。マイケルも後ろから付いて行く、それを見たスーザンが
「マイケルも、引けるの?」と驚いた顔で声を掛ける。
「いやぁ~ぼくはまだ引けませんよ、夏に来た時左腕があざが出来たでしょ」と左腕を撫でる。
「それじゃ、あれ以来やって居ないのか」と少し安心顔のスーザンは巻き藁を続ける。
「じゃぁまさるさん三つ的にして、まさるさんが前で中がスーザン、私が最後で良いですか?」と言うとまさるが頷きながら、草履を履く
「じゃぁ射位にマークを置いて下さい」と袴を翻(ヒルガエ)して矢取り道を駆け出す。
「弓道では本来駆けることはご法度で、すり足が基本です」と旦那が駆けている姿を楽しそうに話して笑わせる。
彩音さんが、スーザンの上気した気持ちを解そうと冗談を言ったが、笑顔が戻らない。
「スーザン!肩の力を抜いて、深呼吸しましょうか~」と話しかけて慌てて顔を向ける
「まさるさんの体配を見ながら、ゆっくり引いて良いですから」と優しく話す。
「Thank you for your guidance」と軽く英語で返す。
「おねぇちゃん 英語は禁止だよ!」マイケルが声を掛ける。
「ビ―コース レッスン インフォーマル 」と彩音さんも英語で返す。
まさるは半年前に初段の審査を受かり、来月は二段の審査を申請し朝と夜の練習に集中して居る。
大前だろうが、大将の位置だろうが動ずる気配がなく、最近は風格が出て弓道の師範と勘違いされる。
娘の弓引きにウットリのお二人
スーザンも都内の大学の道場に通っているようで、中々落ち着いた射形で審査は完璧にパスするだろう。
日本弓道連盟のイメージキャラクターの画像を拝借しました(^^♪
道場のキッチンがお蕎麦屋さんに
鬼首に向かう前に、鳴子の蕎麦屋さんに夕方の出前を頼んだ。
「お客さんですか?いつも倅と孫が柔道でお世話になって居るので、私が道場のキッチンで茹でますよ」とその日の午後に打ったうどんとソバを、軽ワゴンに孫も一緒乗せてやってきた。
夕方自宅の温泉で汗を流し、食堂に集まるとお蕎麦屋さんがキッチンで、仕事をしている。
保養所時代に使った大きなキッチンで、大鍋で湯を沸かして居る
「これは良いなぁうちの調理場より大きくて、さすが柏木棟梁の仕事は丁寧だね」と楽しそうに茹で始めた。
食堂と直結なので、蕎麦屋さんの様に湯気が出て、お蕎麦の香りが漂う。
ブラウンさんは珍しそうに、キッチンを眺めに傍に行き蕎麦屋のご主人と会話して居る。ブラウンさんがそば好きらしいので、一安心。
「驚いたなぁ~外人さんが私たちより丁寧な日本語で聞かれているのに、こっちがドギマギしちゃったよ」と笑いながらせいろ5枚ほど重ねて運んで来てくれた。
ブラウンさん大喜びソバ三昧
その運び方にも感動したブラウンさんが
「こんな贅沢なディナーは初めてですよ~、茹でた香りとそばセイロを重ねて給仕して呉れるなんて、幸せ者ですね」
「この方は若先生のお友達ですか?」と蕎麦屋のご主人が興味津々だ。
まさるもお付き合いで
「この方は、レッキとしたアメリカの方で、ケイズ ・ブラウンさん、このかたが奥様の啓子さま、この金髪のお二人は名護スーザンさんと名護マイケルさんです」
「お友達になった時系列で言うと、スーザンさんとうちの彩音さんがお役所で同期入庁で、その次にマイケルが私の柔道と合気道の生徒になったのかな?」
「そうですね、続きは僕が話しますと子供たちが先に知り合いになって、色々あって父がまさる先生に興味を持ち、お食事会などでお付き合いしてきました」するとブラウンさんが・・・