まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

M&SSの再起動ー41(我が家の攻防)

榊原さん受傷

まさるは倒れた不審者を回り込み、首筋に右手で脈を診る。

榊原さんに目をやり首を横に振る。

「少し力んじゃったようですね、自分の出血で思わず力が入りました」と頭を下げる。

まさるは冷静に、出血を留めましょうと榊原さんの左の手首から上着をまくり、自分のテッシュを10枚くらい抜いて傷口に当て、ハンカチで抑えるが滲んでくる。

 

「ちょっと待ってね、現場写真を残しますから」と、榊原さんの顔や腕の出血を撮る。続いて、うつ伏せのまま不審者を撮り、ひっくり返してデスマスクも撮る。

トイレやその階段、内部もスマホのライトを点けて建築現場と位置関係も撮る。

 

「こいつをシートにくるんで、家で応急処置をしましょう」と、まずプレハブの近くにあったブルーシート持って来て、二重に巻きにして榊原さんを急き立て自宅に戻り、 

玄関が開いて居たので、音をたてないように二人で静かに入る、24時前だが居間に誰かいる様だ。

祖父の手際

扉をコツコツとノックし開けると、祖父がテレビもつけずにソフアに背を持たせて顔を向けて来た。まさるが口に指を当て、榊原さんを促して自分はテーブル上のポットを持ち上げ、救急箱に手を伸ばす。

 

祖父は、榊原さんの上着を脱がせ、上腕部を両手で抑え止血をする。

まさるがガーゼにエタノールをたっぷりしみ込ませ、傷口を静かに拭き取る。

祖父が覗き込み
「浅くて良かった、血管からも外れている」と言いながら。

「上腕部にも包帯をきつく巻いて、傷口に軟膏を塗りガーゼの上に油紙を巻いて様子を見よう」とまさるの処置を静かに待って居る。


その間 榊原さんは一言も漏らさず、じっと痛みを堪えている。

まさるがタオルをポットの湯に浸し、顔や首の周りを腕を丁寧に拭き取る。

作業シャツとTシャツ・スラックスを脱がせ、近くにあった自分の替えと着せ替える。取り敢えず女性や子供たちに見せずに済みホッとした。

 

榊原さんの左腕は、幅広の包帯を二重にして首に吊るようにしながら

「お爺さん、昼間の不審者を捕獲したのですが、トイレに行きたいと言うので、二人で付き添い、用をたしたと思っが呻き声に騙され、隠し持っていた刃物で腕を刺されたが、二突き目を血だらけの左で払いのけ手刀を頸動脈付近に決め、倒しました」

 

「逝ちゃったのか~どう処置するかだなぁ」と考えこむ。

「この乱闘前に、本庁へ引き取りを要請して居たので、夜明け前に機動車が来ます、これから電話して状況が変わったことを伝えます」

 

「そうか本庁も承知なら好都合だな」とほっとした顔になる。

「ただ時間勝負で、ドライアイスでも調達できれ良いのですが、異臭が出れば問題になるので~」

 

「何時だいま、12時前かホテルか魚屋ならドライアイスを常時置いてあるのだが~少し遅いが電話してみよう」とスマホを出す。

「そうだな榊原くんの治療も、早い方が良いので古川に行って見よう」とスマホでどっかをコールして居る。

 

「二階堂くんに連絡しよう」とまさるも、スマホでワンタッチコールをしている。

 

二階堂警部のLINEでは、機動車はを時々赤色灯を点灯しフル走行で、福島を過ぎて宮城の蔵王の分岐点を過ぎた様だ

 

「実は状況が急変し、やむなく遺体搬送になった、本庁にはまだ通報して居ないが、こっちも被害者が居て応急処置をしているところだ」と伝えると、

「うちの会社には私の方から連絡します、それでどなたですか怪我ですか?」と聞く。「あなたの知り合いで、榊原さん(前のカンさん)が腕を刺され、手刀を放ったら頸動脈に決まった」

 

「そうですか、後始末はお任せください、遺体搬送袋は常時積んでいますし、コンビニで食用の氷を5~6個買ってゆきますから大丈夫です」と簡単に答えを出してくれた。頼もしい後輩が育ったようで安堵する。

 

聞いていた祖父と榊原さんが、頷き合い「コンビニかぁ~」と納得する。

 

「それじゃぁ、榊原くんわしと一緒に知り合いの医者に行こうか?」と立ち上がる。

「そうですね、古川ですか?」まさるが確認。

 

「うん 前から難しい治療を心良く引き受けてくれる奴が居るんだよ」と笑う。

榊原さんが、心配そうな顔に(行って良いですか)見たいな顔でまさるを見ている。

「榊原さん、こっちは心配せず行って治療を優先にしてください」

 

「そうですか お言葉に甘えて2~3針縫ってもらいます、これはプレハブのカギです」と鍵を渡して立ち上がる。

祖父はすでに外へ出て、エンジンを掛けている。

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健気な女性陣の心情

 女性陣の心情

まさるは一人になりソフアに凭れかかりながら、うとうとして居ると居間のドアが開き彩音さんとユウリンが入って来た。

「何か重大なことが起きたのですか?」と心配顔の彩音さんだ。

「いまは事態が進行中で、夜明け前に片付くので二人は心配だろうが、明日の朝詳しく話したいんです」とユウリンを見ながら話す。

 

「お爺さんも居ないようですが、お出かけですか?」と鋭く聞いてくる。

「うん、榊原さんが少し怪我をしたので、夜でも治療してくれるお友達の所に行ったので、待ってるんだよ」

 

「あなたはのんびりして居ますけど、怪我なら救急車を呼んだ方が好いのではないですか?」と元警部は急所を突いてくる。

 

「そうですね少し詳しく経緯を話します、掛けて下さい」と立っている二人を座らせ、今日の午後からこれまでの経緯を公開する。

 

「えっつ昼頃は東京でしょう」と二人が同じような顔を見せる。

「夕方、榊原さんが迎えに来た時からすべてを聞き、お爺さんには車を借りたり鳴子のホテルのKさんには尾行を手伝って貰ったり、結構長い一日でしたが、まだ続いています、もう少しで二階堂警部たちが機動車で到着し、不審者を引き渡します」と一気に話し、

「この先は未だ決まって居ませんが、我が家は寝たことになって居ますので、電気を消して外には顔を出さないように、お願いします」

 

「何だか隠しているんじゃないの?」と彩音さんが未だ怪しむ。

「隠して居ませんよ、不審者の引き渡しや、機動車の到着はモノモノしいのでそっとしておいて下さいよ」と、時計を見ながら立ち上がる。

 

何か言いたそうな二人が付いてこないように、外へ出る。30分くらいは掛かりそうだが話して居ると、遺体搬送に及ぶことを言いそうで外に逃げた格好だ。