まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

M&SSの再起動ー37(不審者が不審な行動)

追跡開始

片言の日本語を喋るらしく(駅までUターンですか?)と聞こえ、運転手と揉めて居るような声が聞こえた。

 

榊原さんが、今度は後ずさりながら工事中の自宅裏からさっきの場所に戻る。祖父に

「車を貸してくれませんすか?」と言うと、「良いよっ」とクラウンのキーをポーンとトスしてきた。

 

榊原さんが、造り掛けの門のコンクリートの陰からタクシーが去った方をしばらく見て居ると、タクシーがUターンしたらしく戻って来た。

身を低くしてタクシーはそのまま走り去る。

 

榊原さんは、めおと道場の駐車場のクラウンに飛び乗ると、タクシーを追いかける。交通量が少ないので、タクシーは視野に入らないが、まっすぐな国道にはそれらしい車が見え無いので鳴子の方に行ったようだ。 国道から温泉街に左折すると、タクシーがホテルの前で止まっている。

 

榊原さんも用事があるふりしてホテルの駐車場に入り、窓を少し開けて話声を聞く。

このホテルに泊まりたい様で、運転手が付き添って行った様だ、とにかく運転手が出てくるまで辛抱強く待つ。

 

15分くらいで運転手がブツブツ言いながら、タクシーに乗り込み温泉街の方に走り出す。榊原さんも何食わぬ顔で、駐車場から静かに走り出す。タクシーは駅前のロータリーに入るらしく信号待ちして居る。

駅構内に一般車の駐車場が少ないので心配しながら後をついて行くと、3台分くらい空いて居た。タクシーも3台が客待ち状態だ。

 

榊原さんが車を降りて、最後尾の車に近寄り挨拶し「お話を聞かせてくれませんか?」と話しかける。

 情報聴取は手馴れたものだ

50代の気さくな運転手で
「はいお客さんも居ないので良いですよ」と助手席を指して「乗って下さい」と言う。

榊原さんが作業服から、千円札二枚出して「お茶代です」とスッと渡す。
「何ですか?」と不思議な顔をした。

 

榊原さんは、詳しくは話さず「建築現場でタクシーが止まって写真を撮って居る」と友人から連絡が有り、お宅の会社だったので駅に行こうとしたら、ホテルの前で揉めて居たの、後からついて来たことを話す。

 

「そうなんですよ、最初「めおと道場」へと片言の日本語で言いながら、先に料金を聞くので変な客だと思いましたよ。めおと道場じゃなくて隣の建築中の家に興味があるらしく写真を撮って居ました「ここの名前は誰だ」と聞きますがタクシー会社では分からないと言うと「Uターンして駅に行け」と高飛車で命令するので「降りろっ」と怒鳴ると、チップの積りか2千円出して「ごめんなさい」と謝るので、少し先の開けた場所でUターンして来ました、あそこのホテルの前で止まれと言い出すので「ここは駅じゃないよ」と言うと「ここに泊まるからリザーブしろ」と言い出して、付いて行って話し合い、やっと解放されホッとしましたよ」パスポートや在留カードの提出でゴタゴタしたようだ。

 

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静かな温泉街

「やっぱりそうか、中国に留学中に揉め事で殺されそうになったことがあって、さっきチラッと見ましたが顔が似ていましたね」と打ち明ける。

「やっぱり,その筋ですか~ヤバいですね」と運転手が深刻な顔になる。

 

「いやぁ~まだはっきりしないので、誰にも話さないでください、私は「めおと道場」の柏木さんの知り合いで、現場の仕事を手伝っている佐々木と言います、柏木さんと相談して対策を考えますが、内緒にして置いてください」と助手席を降りる。

 

「はい分かりました、頂いて置きます」とお札を見せた。

「貴重な時間と情報有難うございました。何もなければ警察にも話しませんから知らなかったことにして置いてください」と離れクラウンに乗り、ゆっくり発進した。

 

まさるは東京なので、夕方帰ってから相談して対処を決めようと、道場の駐車場に入れて外に出ると柏木のおじいさんが出てきて

「何か変わったことが有りましたか?」と心配そうな顔で待って居た様だ。

「中国時代の悪い男らしいのが乗っていたんですよ」

「それはいい話じゃないですね、今晩からみんなでこっちに来てください」

「有難うございます、助かります~まさるさんが帰ってきたら相談して、対策を考えます、車有難うございました」とキーを返す。

 

 「じゃぁまさるの迎えをお願いしますよ」とキーを戻す。「ハイ分かりました、今日のこと話して相談にのって貰います」と、建築現場に行く。ユウリンにも話し用心することを言って置くことも、大事だ、子供たちの転校手続きは、代理人に頼んでほぼ終わり秋の始業式も間近い。

 

榊原さんは自宅と道場の建築を決めてから直ぐ、水道と電気の工事用工事を決め自宅の棟上げ直後にプレハブの仮設住宅を造った。夜だけ4人で新居の番をして、食事と風呂は柏木一家と一緒に楽しんでいる。

 

まさるの出勤と帰りの迎えは、祖父と香織さんと時々榊原さんがやっており、榊原さんは道場の雑仕事を祖父と二人でやって来たが、最近は建築が進んでいるので祖父と二人で現場監督の様に、現場に立っている。

 

香織さんも家事を手伝っているが、彩音さんの出産などで榊原さんの奥さんユウリンさんが家事を切り回しているので、香織さんもかなり負担が少なくなり介護士の上級試験に向けて猛勉強中で、近くの老人ホームでバイトの様な研修中だ。

 

まさるを古川駅に迎えて事情を話すと

「あのホテルの社長は、道場の塾生だったな奥さんも弓道の段持ちで彩音さんの弟子だったな」と何かを企んでいる顔だ。

 

「ここは私たちで決着を付けなくては、ヤバイですね!」