まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずなー32(遠隔操作ー6)

拓少尉怒なる

拓少尉が、飛び掛かるように体を乗りだし「何のまねだぁ公務中だっぞっ邪魔するなのかぁ」と怒鳴る。同行していたパトロール船の船長も大きな声で、「何で止めるんだぁ」と叫ぶ。ライトを点けたパトロール船の、制服を着た4~5人が慌ててデッキに出てきた。

軍の将校が怒っているのに仰天し、顔を引きつらせている」更に少尉が言葉を繋ぐ
「お前たちの上部は、何をして居るんだ我々の業務が滞ったらお前たち責任を取れよ」と言うと、船長が「実は市民の通報で<不審船が居る>というので出動したのですが、今確認しました、メモの様な紙切れを見ながら、確かに受信して居ます<軍の幹部の方が民間船で移動中、パトルール船で警戒指示が出て居ました>済みません、当方の連絡の不徹底です、申し訳有りません」と全員が並んで頭を下げている。
「我々は時間的な制約があり、止まって居る訳に行かない、すぐ航行する、後でそっちの本部にヒト言あるかも知れないぞっ」と一緒に来たパトロール船の船長に合図する。

臨検をかわす

シンディ―も少尉の目を見て、エンジンを掛け警笛を鳴らして前進に入れる。個室キャビンの二人も息を凝らして隠れれていたが、エンジン音でホッとする。エンジンルームに隠れていた副社長のニールも顔を出し、ケイ伍長は腰の拳銃に手を置いていたが、警備警察の命令不徹底で一件落着、みんなホッとする。

シンディーの指示で、深圳駅に出迎えに行っている間にボートに支障が起きないように、ニール副社長を忍ばせていたが、別の問題起きそうだった。元々副社長は外洋航行もあるので、機関士の免許を取得しクルージング場合は一緒で、今は操舵輪を握っている。

夜の港珠澳大橋も絶景です(^^♪

港珠澳大橋の下を回り込み、香港行政区界を越境しない程度に、蒲台郡島の小島を交わしながら北東に舵を切る。拓少尉が手を上げたので減速停止する。パトルール船も意を解したように,減速して相互にロープを投げ、接舷する。

拓少尉が「無事にここまで来れました、ここから先は海警の外洋航路の運航指示で航行します、有難う」と言って敬礼する。ケィ伍長も敬礼して居る。パトロール船の船長が「色々ありましたが、パトロール船のことで申し訳有りませんでした、拓少尉の計らいで無事に随伴出来ました、いい経験が出来ました、お気を付けて航行してください」と乗組員5名が並んで敬礼して居る。
シンディー号のデッキに居る4人も並んで礼をする。

シンディーとニール副社長も並び、警笛を短く鳴らし前進に入れる。
操舵をニール副社長に任せ、脇の椅子に座りスマホを取り出す。「そうだね先方に連絡を入れて下さい、遭遇場所はどっちにしますか?」と拓少尉も興味がありそうだ。「そうでしたねケィ伍長さんもキャビンに入って貰ってください」とシンディーが拓少尉に話す。「ここからは前方・両サイドがポイントですねキャプテン任せになった、呼んできます」と伍長を呼びに出て行った。

三枝浩治さん感激

そこに弥さんこと三枝 浩治さんが顔を出し、ソフアに腰を降ろす。ケイ伍長も入り5人が初めての様な顔で見合せ、弥さんが「そろそろ国境を越えそうですね、皆様の御尽力でここまでは来れました。改めてお礼を言います」と涙ぐむ。すかさず「まだ気を緩めてはダメです、さっきの様な命令が徹底しないことは何処でも置きます、最終地は分かりませんが、気を抜かないで頑張ってください」と手を出し弥さんと明日守する拓少尉だ。

「私は思い違いをして居たのですね、拓少尉の様な優しいな兵隊さんが居ることに感動して居ます」と目をこする。「いやぁ勘ちがいでは在りません、私たちの上官の影響で現在の任務を遂行して居ますが、軍人・兵隊が皆同じでは在りません、中隊長にはいつも<お互い 人間らしく対応しろ>と言われてきました。私の親も中国人ですが、何代か前は日本人だったようで、父も柔和な人でした」と拓さんもしんみりする。

高雄チームも懸念

高雄に待機中の佐藤領事官が「おおっ国境を超えそうだ、意外に早く遭遇しそうだな、東海岸では無く、琉球島沖ぐらいに寄れないかな」と呟く。
リャン船長は「そうですね我が国もパトロール船を東側に強化して居ますが、我々も蘭嶼郷じゃなく琉球島沖の方が接近し易いです、シンディ―ちゃんにLINEできませんか?」と自分でアクセスしたい様だ。「うん さっきは忙しそうだったが、こちらから聞いてみよう」とスマホを出して入力して居る。

シンディーが弥さんを見ながら「お疲れでしょう2~3時間は休めるでしょうから、横になって体を休めて下さい、私たちも交代で操舵しますから、少尉さんも体を休めて下さい、弥さんの部屋の向かい側にも2ベット有りますから休んでください」と言われ拓少尉は「それではもうしわけないでしょう護衛役が寝る訳にいきませよ」と断る。
「この島の間を抜けると障害物が無くなります、ケイさんと交替でお一人づつでも良いでしょう、何かあったら呼びます」という言葉に納得し、各々交替勤務になった。

リャンさんの思いが通じる

シンディ―が「遭遇場所を探して居ます東側が風力があり岩礁が多いので、高雄の南に”琉球島が有りますがその沖合で接舷出来ますか?」とトークして来た。

佐藤領事官がスマホの画面をリャンに示す「やっぱりシンディーちゃんはプロだなぁ」と嬉しそうに声を大きくする。「分かったリャン船長の案通り南側が安全らしいので、2時間以内に出港しましょう、琉球島が目標ですね、これから本庁経由で地元の当局に協力を得ます」と衛星電話に手を伸ばす。

「えっつヤッパリ海上警備船が来ますか?」「いえ接舷は断ります遠方から見張って貰います、何しろ向こうにも軍の将校が付き添って居るので、難しいですが私は名乗って面談します、5分位時間を下さい」とリャン船長に確認を取っている。

仮眠タイムが出来た

「それじゃ私たちも交代で、仮眠を取りましょうか?」とリャン船長が傍にいる機関長と交流協会のメンバーのの顔をみる。

「あぁそうですね、私が事務所をお借りして、東京と連絡しますから皆さんも仮眠をして下さい」と佐藤さんが、衛星電話や書類を持って出て行く。そこへリャンさんの奥さんが毛布を抱えて「これ使って下さい」と置いて「何か欲しいモノが有ったら言ってください」と夫の顔を見る。「ポットにお湯を入れてコップを人数分頼む」と拝む真似をして居る。皆はニヤニヤ笑いながら「有難うございます」と4人の男たち頭をさげる。