まさる先生のブログ

新たな武道の境地を目指します

武道場のきずな(榊原さんの回想ー5職住食が至近でラッキー)

地元の有力者の実力?

リュウーさんのお陰で、ホテル代が戻り住食が無料で天国の様な日々、語学の教室も近くこの上が無い便利な境遇だ。

 

チェンユーさんも、休憩時間に道場を訪ねアドバイスしてくれるので、仕事をしながら学習お出来るのが効率的だ。

 

チェンユーさんは、八極拳(カンフー)を習って居て、体は華奢に見えるが相当な技前の様だが、柔道場では披露せずひたすら上海語の教授に専念して居る。

 

 柔道の初・二段の初心者は夕方から参加するので、榊原さんが見て戸惑うことが多い。段級の審査が異なるのかレベルが違い、所変われば??が替わり何しろ受け身が出来ていない。

兎に角全ての現状を受け入れ、段位に拘らず柔道の打ち込む純真さに納得、「受け身」の重要性を徹底し稽古の最初30分以上は「受け身」を行う。

 

初・二段を取得し積極的な塾生が

「師範代は5段くらいですか?」と聞かれるので「そこまではあと10年くらい掛かるね、段位に拘らず畳と仲良くなってください」と惚ける。

 

商社の駐在員には3・4段と言う猛者も居て、黙々と受け身を遣っているが榊原さんに稽古を申し込む訳でもないので、静観していた。

 

榊原さんが、汗を拭きながら昇段審査前の高校生を眺めていると、大手の貿易商社員で上海駐在2年目の神田さんが

「師範代は学生さんとお聞きしたのですが「打ち込み」を付き合って頂けますか?」と聞いてきた。

 講道館の有段者

「はい 良いですよ 「約束」から「乱どり」も暫く遣って居ないので、丁度好いです」と受け、若い塾生に「これから神田4段と稽古しますから皆さん参考なると思うので、見学してください」と断りを入れる。

 

若い門下生も、本格的な乱取りを見る機会が少ないので、正規の稽古を見学させることにした。

塾生も気付き、有段者の稽古を見ることが少ないので、道場の両脇に正座した。

 

それを見て、神田さんも左足を引き、左ひざ、右ひざ畳に付き正座する。
見ていた榊原さんも殆ど同じタイミングで、両手を付いて「それでは神田さん、お願いします」と榊原さんが礼をし、神田さんも「お願いします」とはっきりした挨拶する。

 

その場であ立ち上がって、向かい合った二人は、同時に「立礼」し神田さんが分かるように声を出す「組み方」と言いながら、お互いに「襟」と「袖」を取り前後に動き「進退動作」を繰り返す。

 

「これから「投げ技」の基本形「体落とし」を繰り返します」と榊原さんが声を出す。

攻守を変えて5本くらい続ける。

 

次に神田さんが「背負い投げ」と声を挙げながら続け、3段の榊原さんと4段の神田さんは互角で、技を出し合っている。

 

続けて10本くらいで、神田さんが右手を上げ水を飲む仕草をする。榊原さんもすかさず「小休止」と言って廊下の出口に近寄る。

 打ち解ける門下生

高校生の唯一の女子学生が、素早く立ってポットを持ち、グラスを持って注いでくれた。神田さんが「シエシエ」と礼を言いながら、喉を潤す。
二つ目のグラスにも注いで榊原さんに差し出す。

 

「有難うアンナさん」と礼を言いながら「美味しい」と声を出す。

アンナさんが「いつもあの様に、激しく投げ合うのですか?」と恐る恐る聞いて来た。

 

神田さんが、年下の榊原さん譲るように、アイコンタクトする。今日は学生や社会人の初心者が12名ほどいるが、アンナさんの質問に興味がありそうで会話を聞きに、近くに寄ってきて。

 

「柔道は、兎に角汗を流すことが稽古で、私は、中学生時代から畳と仲良くならなければ上達しないと言われてきました、漠然としていますね、受け身は一人でもできますが、さっきの様に投げられながら、いかに体が「痛くない」転び方があるか

 

アンナさんは、不思議な顔をして神田さんを見る。

「全くその通りです、最初は「受け身」とか練習して居ますね、これが基本ですがその先がサッキ二人で技を出し合い、投げて、投げらえて、その積み重ねしか進歩が無いのです。文字を読んだり、動画を見ても自分の体は汗を掻きませんよね、体に擦り傷やコブが出来て当たり前で、自分が投げても投げても相手が掛かってくるのが柔道の稽古です、現代では競技柔道になり「指導」とか「時間」とかが勝負を宣するので、試合が味気ないような気がするんだ」と榊原さんを見る

 

「有難うございます、神田先輩は柔道の本山「講道館」で育った方なので、正道の講義を頂きましたが、今日はいきなり臨時講師を務めて頂きましたが、次は自由練習と言いますが次は「乱どり」をお願いします」

 

神田さんも笑いながら
「しばらく遣って居ないので、チョット汗を流そうかと寄ってみたが、師範代にしごかれてへとへとだが、遣って見ましょうか」と肩をほぐす様に廻している。

 

乱取りは、試合と同じでどんな技が出てくるかお互いに知らないので、結構厳しい練習になる。
お互い全力を出し切って技を出すので、道場を十分に使って30分も続けると、同時に畳の上に大の字になって伸びてしまった。

眺めていた練習生が驚いてぬれタオルやポットを持ってレスキュー態勢だが、二人は天井を見ながら笑っていた。

 

「なぁ~んだ」と言う顔で

「本当に倒れたと思いましたよ」とアンナさんが真面目な顔で睨んでいる。

 

「ごめんね、アンナさん本当に気を失う寸前だったのは事実ですから、ご心配を掛けました」と神田さんが、座り直して礼を言う。

 

すかさずアンナさんがコップを差し出す。

 「試合はこんなに長くは無いですが、延長に成れば30分でも1時間でも続けますから、今のが試合に成ります」と榊原さんが、真剣勝負だったことを披露する。

 

「それにしても、師範代は5段のレベルですね、私も東京に戻った時はトライするのですが、技も大事だが体力勝負だね」と榊原さんの手を取って立ち上がった。

 

周りの子供たちだけでなく、いつの間にか名誉館長も来ていて、拍手してくれた。

「いやぁ~真剣勝負を見せて頂いて、有難うございました」とリュウ―さんが礼を言う

「今日はラッキーでしたよ、榊原さんに乱取りを付き合って頂き、勝負勘が少し戻ってきました、いつごろまで滞在しますか?」と榊原さんの日程を気にして居る。

 

「そうですね、館長さんの怪我の回復次第と思って居たんのですが、長くなると甘えが出てくるので、早く後任の方が来て頂けば好いのですが」と本音を言う。

 

「ダメですダメです、まだ2週間ですよワンさんの怪我は、稽古するまで時間が掛かるので、この街に移住して頂いて結構ですよ」と引き留め作戦だ。

 

神田さんも、練習性もそのやりとりが気になるらしく、離れて行かない。

「そうだなぁ榊原さん、私が東京に帰任するのが来春だから、ご一緒しましょう」と変な提案をして来た。

子供たちもその気になって

「それが良いです」と声を揃えて歓迎の掛け声だ。

 真摯な稽古に見とれる

「そうだね、皆も期待して居るのでゆっくり滞在してください」とリューさんが閉める。

榊原さんが、神田さんと何か話し合っていたが
「今、神田さんにお願いしたのですが、皆さんが一人で「受け身」を練習して居ますが「技」を掛けられて「受ける」ときが本当の受けなので、神田さんに「技」を掛けられて、実際の受け身のポイントを遣ってみます。進めながらポイントを話しますので、見て下さい」

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乱取りの最期に「ともえ投げ」を披露して終了(^^♪

「投げ込み」で「左右の横受け身」などで足が重ならに注意とか、畳の叩きで手首だけでなく肘も同時に着けば負担が少ないとか、背を付く場合は首を素早く内側に曲げるとか、細かい仕草まで声を出しながら「受け身」を試技をした。